水曜日, 5月 20, 2009

誠実さ(Honesty)



♪Honesty is such a lonely word.
Everyone is so untrue.
Honesty is hardly ever heard.
And mostly what I need from you.♪

ビリージョエルが'78年に発表したHonesty。
当時中学生だった僕も、ラジオから流れる彼の歌声と柔らかいピアノの音は、心に残っている。残念なのは、つい、昨日まで、この歌詞の意味を考えたことがなかったこと。
(英語だからねぇ。。。)

この曲をモチーフにした?映画(DVD)「ハッピーエンディング」を見た。

この映画、amazonの内容紹介では、「同性愛; 略奪愛; そして養子縁組…様々な愛の形と結果があるけれど; 終わり良ければ全てよし!10人の男女が織り成す大人のラブ・コメディ。」となるんだけど、このキャッチコピーは、きっと若造が書いたに違いない。
少なくとも、この映画のテーマは「誠実に生きる」事であり、見終わると、全てのエピソードがこのテーマを想起させるように描いている事がわかる。

映画は「誠実であること」をテーマにしているんだけど、映画冒頭で「この映画はコメディなので・・」と断りがあるぐらい、軽い感じでストーリーは展開していく。
そもそも、いい大人に「誠実は大切」なんて、正面切って言ったって「そんなのわかってるよ」と相手にされない。だからこそ、観ている僕達とさほど代わり映えしない日常風景をコミカルにありのまま描きながら、絶妙のタイミングでこの曲が挿入される。「♪めったにあり得ないけど君にだけは誠実でいてほしい。♪」
軽いタッチの映画だからこそ、気がつくと"誠実"について「考えさせる」「考えずにはいられない」のだ。


大人になるにつれ、「嘘(秘密)も方便」だったり「優しさ故の嘘」だったり、本来ネガティブな行為のはずの嘘が、「大人なら当たり前じゃん」的な、むしろポジティブなものにさえなってしまう。ちょっとした「秘密」を匂わせるぐらいのイメージの方が、むしろ神秘的な魅力さえ感じられる。
また、ストレスにさらされている日常。「夢はあったけど現実はこんなもの」、なんて大人っぽく納得しているつもりだけど、ちょっとした秘密を持つ事がストレス発散の代替行為となってしまって、気がつくと抜け出せない、そんな事だってよくある話。

この映画は、そんな大人の嘘や秘密を真っ向から否定はしない。むしろ、愛情を持って描いている。「誠実に生きなさい」的な教訓めいたメッセージもない。ただひたすら、大人なら経験あるよね、的な大人の嘘や秘密を、コミカルに観客に見せてくれる。
なのに不思議と見終わったときに、大人としての嘘も、魅力的にすら感じる秘密も、ぜんぶ取っ払って誠実にさらけ出せる人に巡り会えたら幸せなんだな、と、じんわりと深く感じ入っている自分に気がつける、そんな映画でした。

Honestyを発表したとき、ビリージョエルは30歳になろうとしていた時期。こんな深い歌詞を語れる30歳ってすごいなぁ。そして、この歌がヒットした年は、発表の翌年、僕が個人的にポップスの超当たり年と感じている79年なのでした。
最近では学校の教科書にもこの歌詞が取り上げられているのだそうです。

ちなみに、「日本で一番誠実な会社」と検索して出てくるのが日本ハム。偽装事件以降、「本気の」社内改革を成功させた事例に行き着いた。
こちらも、ちょっと感動するような内容でした。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090512/329768/?ST=management&P=1

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