金曜日, 11月 13, 2009

「やらない」を続ける

来週末の引っ越しまでの間、福岡で仕事をして週末に沖縄に戻る生活。
空港からはタクシーで一時間ほどかけて帰る。

一時間もあると、タクシーの運転手さんと結構話ができる。
夕べの運転手さんとも楽しく話をした。

沖縄から内地への引っ越しは日数がかかる。
だから食品、生ものは極力食べ尽くしている。冷蔵庫を空にしないと捨てて行かざるを得ないからだ。
そんなわけで、帰ってもビールぐらいしか無いのでコンビニに寄って貰った。
朝食とスナック菓子かなんかを買って、ついでに、コンビニの前でタバコを一服させて貰った。

タクシーに戻り、運転手さんとしばしタバコ談義。
運転手さんは50才ぐらいだろうか。
ヘビースモーカーだったのが20年ぐらい前にタバコはやめたのだそうだ。

タバコをやめる切っ掛けを楽しそうに話してくれた。

小学生のお子さんから「お父さん、タバコをやめようよ」と言われ、「うーん、それじゃあ、今度の親戚の結婚式、その日をもってタバコはやめるよ」と答えたのだそうだ。
この時、それほどの覚悟はなかったそうだ。

一・二ヶ月後の結婚式の頃にはすっかりそんな約束は忘れていた。
結婚式から帰ってきていつものようにタバコを吸おうとすると、子供から「約束したでしょ」と言われ、そうだったと思い出しとりあえず家族の前で吸うのをやめたのだそうだ。

それから、しばらく、家族には隠れて吸うようになったのだそうだが、だんだん面倒なこともあって、断続的に職場でも吸わないようになってきた。

運転手さん曰く、「とてもいい仲間で、集まるとみんながタバコの煙を私に吹きかけるんです。そして、『おまえにやめられるはずがない』と言われ続け、意地になったんですよねぇ。」と。
そうして、タバコを吸わなくなったのだそうだ。

僕がお酒の席なんかで吸いたくはならないのか聞くと、「なりますよ。お酒の席に限らず、今も吸いたいと思っています。でも、一本だけと思って吸ってしまうと、もう、やめられなくなっちゃうんです。実は、そんなことがやめようと思った20年前に何度かあって、それからは、一切吸わないことに決めたんです。」

そして、僕が、まさか禁煙の切っ掛けになったお子さんが大人になって吸っていませんよね?と聞くと、
「もちろん。子供には『おまえのせいでお父さんはタバコをやめたんだから、おまえは吸うんじゃないよ。』と言ってます。」

その後、タバコをやめて風邪をひかなくなって、子供には感謝してるとも嬉しそうに話していた。

なんとか子供との約束を果たそうとしたお父さん。
冷やかしながら見守る同僚。
一本吸ったら元に戻ってしまうという自分の弱さを認め、吸いたい気持ちを抑えるのではなく、吸いたい気持ちを認めた上で、禁煙したことを良かったと心から思っている。

運転手さんの禁煙は、お子さんはもちろん、彼の周囲との関係の中で20年以上続いている。
なんだか、聞いていて温かい気持ちになる話だった。
タバコを吸いながら、そんな話を思い出しているのでした。

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