金曜日, 5月 14, 2010

良いモノを良く作るということ



たまたま見かけた新型扇風機のニュースに、「バルミューダ・デザイン」という会社が紹介されていた。
製品は明らかに魅力的すぎて、きっと、Apple的な「信奉者」を次々と産み出していることだろう。
https://www.balmuda.com/store/


パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードの本を読んでもそう思ったが、「良いモノを作る」ことは掛け値なしに良いことだ。しかし、「良いモノをたくさん作る」は必ずしも良いこととは言えない。
良いものであればあるほど、そのモノの良さレベルに適した「たくさん」があるに違いない。


バルミューダ・デザインの商品も、パタゴニアの商品も、共通の特徴がある。
それは、他企業が販売する同類商品の価格体系となんの連動もしていない、ということだ。
要するに、バカ高いのだ。だから、たくさん作らずに済んでいる。
たくさん作らずに済んでいるからこそ、ますますブランドイメージが確立していく。


同じような「高い感性」や「バカ高い」と言えば、以前のAppleの商品があった。
ところが、最近のAppleは、「バカ高い」わけではなく、やや高い程度で、その代わり、それこそ猫も杓子にも売れまくっているようだ。
もはや、Appleという会社名なんて知らず商品名しか知らない購入者の方が大いに違いない。
そうなると、例えば、iPhone by SONYだって、iPod by TOSHIBAだって、「たくさん」を支える普通の購入者にとっては何だって良くなってくる。Appleである必要はないのだ。

そう考えると、皮肉にも、今のひとり勝ちに見えるAppleの状況はビジネスの持続可能性から見ればリスクがとてつもなく大きい状態だとも言えそうだ。
それらの商品はとても良いモノだとしても、たくさん作り過ぎてしまえば、価値は無くなる。
まぁ、最近のスティーブ・ジョブズは、ハード(iPod)はキッカケでソフトビジネス(iTunes/App Store)を成功させたいだけのようだから。
(mp3プレーヤー市場を制した際には、大手メーカーで唯一メディアビジネスをしていなかったのが幸いして市場を制覇したのはAppleだったのだけど。。。。)


バルミューダ・デザインの代表寺尾玄さんは、「モノを少なく」「長く使える優れたモノ」と言う。
そして、イヴォン・シュイナードは、「(利益追求を最優先させずに)持続可能なビジネス」「売上高(利益ではない)の1%を環境保護に寄付」と言う。
本当に良いものなら『たくさん売る(作る)のではなく、長く売り(作り)続けなければならない』のだ。


母の実家には小さいながら田んぼがある。
今も、年老いては来たものの、叔父夫婦と息子たちが、その田んぼで自分たちが食べるぐらいのお米を作っている。
この間のGWに遊びに行って、そのお米を分けて頂いた。ここのところ、叔父の田んぼでとれたお米から僕はエネルギーを得ている。

昔から変わらない小さな田んぼ。
多分、「水のみ百姓」の田んぼとして代々受け継がれてきた田んぼなのだろう。
そういえば、叔父も祖父も、専業農家をしてはいなかった。もともと家族が食べるお米の為の田んぼなのだ。
持続可能とは、そんな「分を知る」事から始まるに違いない。

ちょっと頑固で意固地な叔父だが、今さらながら僕は信奉している。
そのお米は旨い。
そして、良い米というだけでなく、良く作られた米だ。


↑貧乏な僕は買わないけどね。笑

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