月曜日, 3月 30, 2009

耳を凝らして聞く


一年ちょっと前、持っているレコードをデジタル化(MP3ファイル化)しようと思い立ち手に入れたレコードプレーヤー。
手に入れたものの、引越しのバタバタで、すっかり、デジタル化なんて忘れていた。
思い立ってから1年以上経った昨日、雨で家に閉じこもっているしかなかったこの週末に、レコードを引っ張り出して作業を始めてみた。

まず、レコードプレーヤーとパソコンを繋ぐ。
繋ぐといっても、USBとか、そんなんじゃなく、単純に音声入力(マイク端子)に差し込む。
次に、パソコンのポコッとかピロリロリンッとかジャンッとかの、各種サウンドを鳴らさないようにする。

さて、いよいよ、録音。その前に、レコードを取り出す。
久しぶりのレコード盤。
レコード屋さんのロゴの入ったビニールからレコードの入った紙ジャケットを取り出す。
取り出した紙ジャケットの、口の開いた側を下にすると、とても薄いフィルム状の乳白色の袋に包まれたレコードが滑り落ちてくる。
手のひらでレコードの縁を支えながら、今度はフィルムのあいた口を下にして、中のレコードを取り出す。

黒光りするそれは、久しぶりの外気に深く息をする。(ような気がしながら僕が深く深呼吸をした。)


久しぶりの気持ちに包まれる。懐かしい。
以前は、こうやって、音楽を聞く度に、儀式のような作業をしてから音楽を聞いていたのだ。

両手の間にレコードを挟み持ち、A面を確認し、そうっとプレーヤーに乗っける。
回転数を確認。33pm。久しぶりに見た"33pm"。今見ると、なんか、午後33時みたいでおかしい。いや、正確には33 1/3 pmなのに、このプレーヤーのスイッチは端折って33pmと表示してあるだけか。。

プレーヤーをスタートさせ、パソコンの録音ソフトをスタートさせる。

針がレコード盤に落ちるボツッていう音、埃のせいだろうか時折プチッと入る雑音。
しばらくすると当時の音楽が、まるで、セピア色の写真の様に色褪せた感じで鳴り出す。
レコードの雑音なんて、本当に久しぶりだ。音そのものも、CDと違い、柔らかい。
特にシンバルや金管系の音の柔らかさに驚いた。普段、ギラギラした音を聞きなれているせいかもしれない。逆にウッドベースの深い音にも驚かされた。


思いのほか素敵な音に驚いた。
理屈では、何もしなくても雑音が入るし、たまに埃が針に引っかかって音がコモったり、全体にCDのようなクリアでキラビヤカな音にはならない。
再現性は低いのだろうけど、それでも、充分に満足できる音。


気がつくと、20年ぶりに音楽(レコード)を聴く姿勢になっている事に気がついた。
クリアな音では無いからこその姿勢。
うまく言えないけど、リラックスしながらも耳を凝らしている、そんな姿勢。
そのうち、聞こえてくる音だけでなく脳で補完した音を観ているような感覚にすらなった。

単なるノスタルジーなのかもしれない。
でも、レコードのデジタル化作業が終わっても、たまにはレコードを聴こうかなと思ったのでした。

そんなわけで、針が落ちる瞬間のボツッていう音をカットしたり、一曲ごとにファイルを分割して曲名なんかを埋め込んだりするのはやめました。
ボツッで始まって、片面の曲全てが終わると今度は針が上がる時のボツッで終わる、片面ずつ1ファイルにして保管したのでした。
あえて不便がいいような気がした。


それにしても、CD化されない当時のアルバムは少なくない。。。

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