火曜日, 3月 10, 2009

サーバントリーダーシップと評価基準


●サーバントリーダーシップ
以前に紹介した
サーバントリーダーシップを読んでいるのですが、なかなかの大作なので、のんびり読み進めています。
ということで、読み進めながら傍らで考えた事などを、備忘録として書いておきます。

●サーバントリーダーシップを定着させる事

組織変更や異動の時期、特に今年は、いろんな意味での社会の転換期(100年かかるとも言われている)を迎えた年度末でもあり、仕事にありついているだけでもラッキーなのかも知れない。
そんな中、何十年も前に発表され、評価が高いにも関わらず普及しない(少なくとも私の周囲では知られていない)サーバントリーダーシップを定着させる事について考えてみた。
そんな事を考えたのは、サーバントリーダーが評価されない組織っていうのは歴然とあるような気がして(本来は「生き方」に近い思想かもしれないが)、いずれ世の中に定着するのだとしても、その時を待ち切れない気がしたからだ。

※サーバントリーダーシップ(奉仕者型リーダーシップ)については詳しくはこちら
※※もちろん、言葉としては意識がなくても実践している企業や組織はたくさんある。概ね「必要な変化を拒む組織や会社」には普及が遅れているのだと思う。


●従来の価値観との衝突
サーバーントリーダーシップと、唱えるのは簡単なのだが、所属する組織の中で実践したり定着させるのは、いくつかハードルがある。
もちろん、自らがサーバントリーダーシップを実践するのは自分の事なので簡単とも言えるのだが、従来の価値観と相反する部分が少なくない。
実践には少なからず「従来の価値観との衝突」が生まれることを意味する。
(これはサーバントリーダーシップだなと感じる事例をネットで見ていると、ベンチャー企業の事例が多い。もちろん、トップダウンでサーバントリーダーシップを実践する「資生堂」のような会社もある。)

●従来の価値観との衝突 例1.
例えば、あなたが旧来型の組織の中でサーバントリーダーを実践した場合、こんな悩みにぶつかるだろう。
・組織内で自分のチームの評価を最大にすること、あるいは自分を過大にアピールしなければならないこと
サーバントリーダーシップが定着していない組織の中で、サーバントリーダーシップに基づく行動をしていては、残念ながら組織間の競争には勝てないであろう。
旧来型の組織間の競争は、多くの場合、「数字」に基づいて評価され、旧来型のリーダーは「自分がメンバーを疲弊させている」事には気を配らない。
サーバントリーダーシップは、どちらかと言えば「緩やかだが確実なモチベーションの向上」を組織にもたらし、持続するチームを作り上げるが、そのような思想が会社側にない場合は、あくまであなたがリードする短期間にあなたのチームを評価する。
しかし、あなたのチームが評価されない場合、隣の「メンバーは疲弊したけど数字は最大だった」チームが生き残り、あなたのチームは解散するかもしれない。

●従来の価値観との衝突 例2.
あるいは、
・上司との対立
の可能性も少なくない。
上司が期待するリーダーシップは旧来型のものだった場合、サーバントリーダーは、好まれない可能性が高い。
実際、旧来型のリーダーからは「嫌味」に見えるかもしれない。また、旧来型のリーダーは保身を考えてサーバントリーダーを不当に低く評価するかもしれない。
自分の経験を振り返っても、顧客に駐在するタイプのプロジェクトの場合、自分の上司との接触は最小限になる為、サーバントリーダーシップの実践は「プロジェクトの成功」という形で実を結び、プロジェクトや自身の評価に繋がった。
しかし、離れ小島のプロジェクトではなく、自社内でのプロジェクトになると話は変わってくる。
プロジェクトの成功云々と同程度、場合によってはそれ以上に、プロジェクト完了に至るまでのリーダーシップ発揮の仕方が上司の目に付くのだ。
どうも旧来型のリーダーからみれば、ガツンと上意下達で言えばいいものを余計な事に時間を割いているように見えるようだ。
サーバントリーダーシップの目的である「メンバー個々の高いモチベーションによる成功」は、目に見えない部分を追及している為に、「俺から言わせれば・・・」といくらでも難癖つけられる状況になるのだ。

●何故、こうなってしまうのか。
トップが旧来型のリーダーだから、といえば、それまでだが、それは、「評価基準」がないからでは無いか?
現状ではサーバントリーダーシップの定着度を図るものさしは、考えてみたけどES(Employ Survey)ぐらいしか思いつかない。
ESだって重要とは言うものの、どこの会社でも「人事・総務系」「福利厚生」の課題ぐらいにしか捉えられていないのではないか?
あるいは、自分が所属する部門の満足度、的な、旧来型のリーダーからすれば優先順位の低い「参考情報」ぐらいにしか捉えられないものだと思う。


サーバントリーダーシップがもたらすメンバーの高いモチベーションや真の顧客志向や持続可能な組織は評価基準として曖昧すぎるのだ。
同時に、サーバントリーダーシップの実践度合いを測る物差しもない。。。


と、ここまで考えて、そもそも、「リーダーシップ」の評価とは何なのか?
成績評定の際に「君はリーダーシップに欠ける」といわれた場合、具体的には何を指しているのだろう。

サーバントリーダーの評価は何を指すのだろう。
サーバントリーダーの報酬は「奉仕者」なんだからメンバーと同じ、もしくはメンバーより少なくても良いのか?
あるいは、報酬と役割(リーダー、メンバー)についても、社長も社員も同じ(極端な差は無い)報酬、のように考え方を変えなければならないのかもしれない。
(少なくとも、P.F.ドラッカーは、「社長の報酬が一般社員の報酬の20倍を超える会社は信用できない」と書いている。)

なるほど、こういう考え方に行き着くから、サーバントリーダーの考え方は、微妙なポジションに甘んじているのかもしれない。
どうやらまだまだ、サーバントリーダー云々を考えると、周辺の事も考える必要がありそうだ。


...続く(読み進めるうちに答えに辿り着くかもしれません)

0 件のコメント: