月曜日, 6月 29, 2009

床屋さんとハサミと"はっさみよ~"

毎月給料日の後に行く近所の床屋さん。
うちの前の道を通りに出た角にある床屋さんで、壁には、石原裕次郎とジェームスディーン。とブラピの写真が飾ってある。
昭和の香りする、というより、昭和なままの床屋さんで、プラピの写真すらモノクロな事もあり昭和に溶け込んでいる。



団塊の世代であろう店のご主人は、カラオケが大好きで、カラオケの全国大会にも出場するほどの歌好きだ。島人らしいごつい日に焼けた顔に不似合いなとても可愛らしい目。
その目を輝かせながら歌の話をする。
そんな時のご主人はとても楽しそうで、演歌にはとんと縁のない僕さえも、演歌を歌う人にとっての演歌の深みやおもしろみは、聞いてる僕までワクワクしてくる。

そんなわけで、僕の坊主頭は、きっちり毎月1回スッキリするわけである。
(時々、話に夢中になって、オバQのように、何本か刈り残しの毛が立っていたりもするのだが。。)

先日、この床屋さんに一月振りに訪れた時は、いつもと違っていた。
店内に入ると、玉置浩二の「ワインレッドの心」が流れていたのだ。

どうしたのか聞くと、毎年出場するカラオケの全国大会では、この何年か優勝曲はポップス曲が選ばれている。だったらポップスで挑戦しようかと、中でも大好きなこの曲を聴き始めている、ということだった。
サブちゃん一筋かと思っていたら、そうではなかったらしい。
他に、「少年時代(井上陽水)」も狙っているらしい。


そんなわけで、「ワインレッドの心」が入っているCDをCDショップで探したら、当時のヒット曲が詰め合わせになったオムニバス版を見つけたので買ってきた、ということだった。

「欲しい曲が入っているはこれしか見つからなくて」と、ご主人。
聞くと、本当は、何曲か聞き込みたい曲はあるのだけど、そう都合良く、聴きたい曲だけが詰め合わせになっているわけもなく、致し方なくそのオムニバス版を購入したとのこと。
どうしても、自分が歌いたい曲を中心にCDを買うのだけど、欲しいのが揃って入っているCDは無いらしい。それ以上に、"豪華○○全曲集"みたいな数万円するようなものにも、ファンなら欲しがるあの一曲、みたいなのが入らなかったりで、微妙にガッカリするのだそうだ。

そんな話から、iPodは一曲ずつ購入できるとか、ビデオなら無料でインターネットで見られる場合もあるとか、廃盤の曲ならファン同士で交換(コピー)は致し方ないんじゃないか、とか、そんな話をしながら、彼にとっての三大スーパースター「北島三郎・石原裕次郎・赤木圭一郎」の話におよんだ。

ご主人は、お気に入りの三スターのプロフィールを自分のノートに書き留めていた。
とはいえ、テレビなどでたまたま紹介された時に書き取っているだけなので、情報量は少ない。中でも赤木圭一郎(この時まで僕は知らなかった。往年の日活映画を代表する俳優だったようだ。若くして事故でなくなったこともあり、和製ジェームスディーンと呼ばれている。)については、生年月日すらよくわかっていない、ということだった。

だったらインターネットで調べましょうよ、と、僕が携帯でWikipediaで調べ、その場で、読み上げていった。主人は、「はいさい~、こんな便利に」とか、Wikipedia自体の説明に「はいさい~、一般の人が書くんだぁ」とか、感嘆しているのはわかったけど、いちいち"はいさい"(こんにちは)って、そんな使い方もあるんだなーと思っていた。
というか、その場では、若くして21歳で亡くなった赤木圭一郎という大俳優のデビュー後わずか3年足らずの間に数十本の映画に出ていることなど、僕の方が夢中になって赤木圭一郎さんのプロフィールを読んでいた。


今日、会社に来て、そう言えばと思い、ご主人が会話に挟みこんでいた"はいさい~"の話をしたら、"はいさい"はそんな使い方はしない、と皆がいう。
いや、でも、確かに彼は「はいさいよ~」みたいななんか"はいさい"と聞こえるような何かを言っていたと説明したら、ようやく、それは"はいさい"ではなく、『はっさみよ~』だという事がわかった。

ご主人は、
「はっさみよ~、こんなに便利なんだぁ」
「はっさみよ~、一般の人が書くんだぁ」
という風に話していたらしい。

"はっさみよ~"=驚き、呆れるほどの驚き、を表す言葉
なのだった。

「はっさみよ~、"はいさい"と聞き違えるなんてよ~」
「床屋は髪を切るんだけどよ~、大事なのは"はさみ"よ~」

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