月曜日, 6月 08, 2009

We will rock you!

この週末、QUEENの「ライブ・イン・モントリオール'81」DVDを観た。
中学~高校時代に夢中になったQUEEN。そのライブDVD。



今思えば、やはり彼らは凄かった。ハンパネェ。

●拘りと完成度を追求する姿勢(を支えるチームワーク)
ライブであっても、ライブバンドメンバーを追加したりせず、彼ら四人のみで演奏し、しかも、スタジオレコーディングした音に引けをとらず、更にパフォーマンスもやってのけている。(~1982のヨーロッパツアーからサポートメンバーが加わるようになった。)
 当時流行し始めたたシンセを、なかなか使わなかった彼らの拘りを思い出さずに入られませんでした。時に、フレディのピアノのパートを、ブライアン・メイがギターを抱えたまま弾いていたり、彼らの四人の中で完成度を追及する姿勢に、「あの頃、彼らのこういう情熱が岩手の中学生の心に響いたんだ」と思わずにいられませんでした。

●タフネス
余りの熱唱振り、熱演振りの連続に、「いいから一休みしてから次にいこうよ」と思わずにいられません。これは、私が、疲れを知る中高年になったからなのかもしれません。
とはいえ、ハンパネェ奴らです。

●高い音楽性
これは言うまでも無いのですが、当時イギリスではトップでもアメリカを制覇できない、、、と言われ、彼らのスタイルを崩してロックンロールスタイルの曲を出して全米一位を獲得。当時の無垢な僕は「そりゃないぜアニキぃ」的な思いだったのですが、当時の彼らの映像を見て、「アニキ、たまには生き抜きも必要っす」って自然と笑みがこぼれました。自分たちのスタイルと異なるものも楽しめる、楽しませられる、やっぱり彼らは群を抜いた高い音楽性があったんだなぁ、と、改めて認識しました。
ちなみに、今回、wikipediaを見て改めて感心したのが、メンバー全員が自分のパート楽器+ピアノを弾けるということ。前述のブライアン・メイのピアノなんて当たり前だったのだ。


で、その他気づきは、(←others)
●ライフスタイルの変化
音楽は日常的に良く聴いているほうだとは思うものの、当時のように、スピーカーの前に正座して、アルバムをきちんと聴く事はほとんど無くて、本を読みながらとか、料理をしながらとか、ながら聴きばかりになっていました。
時間がもったいない、とか言いながら、「ながら」をして快適に過ごしていたんだけど、一方で時間を薄く使っているのかもしれないな。
「時間だけは」気持ちの向かうまま自由に使えていた中学生ぐらいの時の感覚を思い出させてくれたQUEENに感謝。


●失っていたもの
あの当時、中学生でも音楽シーンの躍動感に心躍っていた。ちゃんと作り手の情熱が伝わってきていた。きっと、「作り手の想い」が優先されていたのだ。


ここで、「だから、あの後、アメリカでの成功を狙ってPOPS路線に切り替えたQUEENは、超残念だったし失望した」話と結びつけるのもどうかと思っていたけど、音楽産業の成熟度を考えると、どうも、失望していった僕の感覚はあながち間違ってもいないみたいだ。

●根拠は無いけど
作り手重視ではなく、かといってユーザー重視でもないマーケティング重視の音楽産業は、残念ながらどうあがいても、あの当時の躍動感は作り出せなくなっているのだと思う。
ウォークマン時代に音楽を外に持ち出すようになり、iPod時代になって「最初から外で何かをしながら聞くための音楽を作る」、そんな風に変わったのかもしれない。

レコードからCDに変わった時代、曲をスキップするのが簡単になったために曲の頭にサビを持ってくるのが流行った。
同じようにiPod時代の今、「音圧を上げる」「高音を強調する」のがトレンド、なのだそうだ。だからiTunesでダウンロードしても、昔の曲よりも最近の曲の方が大きな音で記録され、シャッフルして聴くと、いちいちボリュームを操作しなければならないのだそうだ。
(テレビコマーシャルが番組よりも大きな音で放送されているのと同じ理屈。)

マーケット的発想では、商品である音楽の品質ではなく、結果として麻薬のように売れさえすればよいのだ。
これがラッキーなことに、商品の性質上、賞味期限偽造や生産地偽造問題に悩まされることもないのだ。
音楽産業って、ある意味無法地帯が許される製造業なんだなぁ。

●愚痴も言いたくもなる
現に、僕は中学生だったときにお小遣いを貯めてようやく手にしたQUEENの楽曲を、実家にレコードを置いてきたからと言って再び買い、CDになったからと言って買い、ビデオが出たから買い、DVDだからといって買い、ブルーレイはプレイヤーがないからまだ買わない、などと、一粒で何度も何度も稼いでいるのは、今は亡きフレディではなく、レコード会社である。(誇張された表現を含みます。ビデオは買っていないな。)

結果、「長時間集中して聴くと疲れる音楽」が増えているような気がしてならない。音楽業界の低迷は彼らが行き着くところまで行った当然の結果のようにも思える。

(マーケットに対してではなく)音楽に対して誠実な作り手が成功し難い状況なのかも。
あの頃のQUEENを聴いて、最近の音楽状況と自分の体力低下に気がつかされた週末なのでした。

●はみ出し「ボブディランの苦言」
※Bob Dylanが「レコーディング音質の悪さ」「ダウンロード音楽の無料化」を発言したとされるニュース。(残念ながら発言当時は日本でもニュースサイトでも話題になったようなのですが、何故か日本語のニュースソースは残っていませんでした。)
http://www.wired.com/science/discoveries/news/2006/08/71636


●はみ出し2「レコーディング現場?の声」
トリップレモンズっていうバンドのブログ
http://hirobow.blog12.fc2.com/blog-entry-13.html

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