日曜日, 2月 07, 2010

バンテージ・ポイント


寒さから、引き篭って映画を観ていることが多いんだけど、これが、何本も見るようになると、一本一本の重みがなくなって、どうしても鈍感になる。いつもなら90点の映画も、たぶん、マイナス20点の70点になる感じ。

一方で、心に残る良い映画は、こうやって気軽に語れなかったりする事も多い。重いのだ。
さて、そんな中で、久しぶりの軽めのクリーンヒットがこれ。「バンテージ・ポイント」

例によってストーリーはこちら。


映画や小説には、与えられる感動にいろいろな種類のものがあって、基本的な感動へのロジックは、概ね出尽くした感がある。
もちろん、ストーリーそのものから感動すれば十分なんだけど、この映画は、(僕の好きな)実験的な組み立てが良い。

テレビドラマで一世を博した、「24」。
でも、これは、映画の枠では望めない。
映画で、似たような時間軸を使ったアプローチで「バベル」というものもあった。
でも、想定範囲内の効果に留まった気がする。

この「バンテージ・ポイント」は大統領暗殺事件の僅か20分あまりの出来事を8人の体験として映像を見せられる。
単一のビューでいかに人は誤解、いや、何もわかっていない、と気がつかされる。
たとえ同じ場に居合わせたとしても、立場や視点が変わることで感じ方が違い、感じ方が違うから記憶に残ることもまるで違う。いろんな言葉が交わされても、相手の記憶に残るかどうかは、相手次第、状況次第なのだ。

そして、意外なのは、こういう技工に凝った作品であるにもかかわらず、最後に胸にグッとくるのは驚きだ。
なるほど、最初、大勢の群衆の中に群衆の一人として映したはずの「フォレスト・ウィテカー」(何度も観ている俳優なのに名前を覚えていないベスト4ぐらいの人)が、どうしても有名俳優だから気がついちゃう違和感は、まぁ、最後の「グッ」を思えば仕方の無いことか。

久々の、コーヒーもタバコもトイレ休憩もなしで「アッ」という間に終わっていた映画でした。
あ、見終えてしまえば端役(たくさん映ったけど)でシガニー・ウィーバーが出ていました。

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