金曜日, 7月 16, 2010

元祖「プロセスを大切にする」思い出しました。


システム運用系でいまだにITILは流行っていると言ってもいいのだろう。
なんだかんだ、まだまだIT業界は、裾野が広がっていき続けている過程にある。

フォードが自動車を普及させ始め、今や、車関連のサービス業が数えきれないぐらいあるように、まだまだITサービスの裾野はとどまることを知らないのだ。
そんな中で、食品や医療と違って、さほど人の生き死ににかかわらずにこれたために見過ごされてきた、「品質確保」に関してのガイドになっていくのだろう。

このITILに取り組むと、どこもかしこも、上流も下流も全てITILに則したプロセスを策定し、そのプロセスに則った運営が求められる。
徹底的に属人化を排除して、属人により担保されていた品質をプロセスに担わせ、属人的業務によるリスクを低減していくことになる。
ポジティブに言えば「一部の人に偏った負担を軽減」、意地悪く言えば、「人を信じない」ということだ。

まぁ、金儲け中心の考え方では避けて通れない道で、奴隷制度が無くなって製造業のジプシー化が進んだように、ITILは、良かれ悪しかれITサービスの構造改革を進めていくことになるのだ。

と、ITILについて言いたかったのではなかった。
こんな流れの中でよく言われる「プロセスを大切にする」は、ちょっと前まで使われてきた「プロセスを大切にする」とは全く異なる意味で使われていることに気がついた。

●元祖「プロセスを大切にする」
「結果はもちろんだけど、その結果を生み出す為にした努力や苦労、それこそが大切」みたいな意味で使われる。この場合、大切にしているものは、そのプロセスに携わっている『人』である。
"日本人はプロセスを大切にする気持ちが強いから・・・"こんな時にはこの意味で使われている。プロセス=経験、って感じ。

●新「プロセスを大切にする」
「誰がやっても同じようにできる、予め決められた手順が大切」みたいな意味で使われる。この場合、大切にしているのは『手順』である。
"プロセスを蔑ろにするから失敗するんだ・・・"こんな時にはこの意味で使われている。プロセス=手順、って感じ。

おなじ、「プロセスを大切にする」という言い回しが、片や『人』を中心に語られ、片や『人』的なものをむしろ排除して語られる。

カタカナの言葉が否応なく反乱するどころか、職場では英語が公用語となる会社が話題になる近頃、プロセス(手順)を大切にしている筈の様々な機関が「想定できない」不祥事や事件で世間を騒がし、昔ながらのプロセス(経験)を大切にしてきた組織ではそんな事件はなかなか起きない、ような気がするのは自分だけなのだろうか。

プロセス(手順)は、それに携わる人によって、精緻なサービス製造マシンにも、ガタのきたおんぼろマシンにも変化する。所詮、プロセス(手順)は書き物でしかなく、いわば人の動きの設計図だ。
なんら意味を感じられない出来の悪い設計図の場合、設計図通りに人を動かそうとすれば、人は油を切らした歯車のように軋み、回転しなくなっていく。

今、業界をあげて、そんな経験を積んでいるのがITサービス業界なのだな、と思った。
(クラウドやITILやバーサタイリスト、とか新機軸がまだまだまだまだ出てくることでしょう。)

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