木曜日, 7月 22, 2010

ブラックプロジェクト


愛読しているコラム"エンタープライズ0.2 - 進化を邪魔する社長たち -"に、「ブラック会社」がどのようにして成立するのか、がとても上手く書き表されていて、ちょっとした感動を味わった。

ここで言うブラック会社とは、労働基準法が適用されない会社のこと。
残業が常態化しているものの、裁量勤務を盾に(ちゃんと仕事をしようとしている人にとって)過酷な労働状況が改善されないので、失踪社員を生み続ける会社のこと。

この話でとても興味深かったのが以下。
・基本的に「とても自由な社風」の会社であること。
・社長に悪気はない、むしろ、「アメリカンドリームを体現した会社」と自負していること。
・定着している社員は「オタク」。定着した彼らは快適な職場だと感じている。
 「割り当てられた作業を適度なタイミングで仕上げる」事さえ出来れば、後は、「いくらでも自由にネットサーフィンしていられる」からだ。
 そして、彼らの基本的に人付き合い不要のライフスタイルは、「用がなければ会社にいる」事で、むしろ評価される。


ワンマン社長の経営方針とオタク社員の微妙なバランス感覚によって会社が維持されているのだ。

同じことがプロジェクトにも言えると思った。
WBS(工程管理表)を更新することだけが仕事だと思っているPM。
PMの理解できる範囲でしか成果を出さないメンバー、結果、「期限だけが守られる品質最低のプロジェクト」が完成する。
ブラックプロジェクトの出来上がりだ。

ところが、この手のブラックプロジェクトは、会社からすれば良い評価を得られることが少なくない。
現場の顧客からすれば「二度と頼まない」と思っているわけだけれど、会社から見れば、「何も問題が無かった(露見しなかった)プロジェクト」となるのだ。

そうして、ブラックプロジェクトを数回経験したブラックPMは、複数プロジェクトを束ねるPMとなることで、ますます品質責任は下位のPMに押し付けられる立場となり、WBS更新人間となっていくのだ。この手のプロジェクトでは、WBSの更新に加え、下位PMやメンバーの更新(交代)も頻繁となっていく。
この手のプロジェクトでは「できる人=問題を露見させない人」になりがちなのも興味深いのでした。

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