土曜日, 10月 15, 2011

オープンへの敵意


ここのところ、OSS(Open Source Software)関連サイトへのクラッカーからの攻撃が後を絶たない。

敢えて、「クラッカー」と書いたのは、通常この文脈で用いられている「ハッカー」には、"卓越した技術を持っている人"という敬意を込めた意味もあるため、だ。
本来のハッカーカルチャーでは、「情報はオープンであれ」「知の共有」がポリシーだったと思う。
だから、ハッカーカルチャー的にはWikileaksなんかは支持されているのだろう。(市民の側に立つべきメディアもポリシーがあるべきなのだけど。。。)


OSS関連サイトなんかは"高度"な電子的攻撃に関してターゲットとされ難い、と勝手に思っていた。
そもそも、情報がオープンなサイトを攻撃して何が得になるのかがよくわからない。
そんなこともあって、OSS関連サイトが攻撃されサイトが停止(もう、数ヶ月に及んでいる)したニュースを見たときには、???な感じだった。
腑に落ちない感じと、触れたくない嫌な気分になるニュースだった。
「善を叩く奴はいない」というか、「寺院に逃げ込んだら殺されない」的な自分の感覚には合わなかったのだ。
それはやり過ぎでしょ、的な甘えた感覚。


でも、ようやく腹に落ちた。
軍事技術がそうだったように、「技術」は善悪にかかわらず使われてしまう。テロリストの武器と政府の武器に本質的な違いはない。
ハッカーたちが築き上げた技術は、いずれ、クラッカー達にも使われるようになるわけだ。

むしろ、クラックで荒稼ぎしている団体から見れば、プロプライエタリな世界(知的資産の囲い込み)が広がった方が荒稼ぎしやすいのかもしれない。
もし、そんなクラッカー業界団体があれば、今回のOSS関連サイトへの攻撃成果は、大いに持て囃されているのかもしれない。業界団体の年次集会で表彰されたり、プロプライエタリ推進企業から協賛を得られるかもしれない。
年次集会のオープニングで、スポンサーになった某ネズミキャラがダンスを披露するかもしれない。

皮肉なことだ。
結果的には、プロプライエタリ推進側にクラッカー集団が加わったようにすら見える。



以前、某音楽CDにコピー保護を目的に作ったソフトをメーカーが仕込んだ。
そして、そのソフトがセキュリティホールを作ってしまうという問題が発生した。

自社の音楽CDのコピー保護はするけどユーザー情報は保護しません、というわけだ。
ちなみにその音楽会社と同じグループの会社が、最近、ユーザー情報漏えいの世界記録を打ち立てた。
"ソ"の会社は、訴訟に耐えられるのか、他人事ながら気になるところだ。


そんな風に、知的資産保護技術を高めていこうとすると、結局、コンピューターウィルスのようにユーザーの不利益になってしまう面もあり、もしかしたら、プロプライエタリ推進とクラッカー達は、構造的に仲が良いのかもしれない。
守ることと破ることは背中合わせなんだな。

なんだか、鍵を売りたきゃ、まず、盗人を雇え、みたいな話だ。
あ、既に、コンピューターセキュリティ会社は、ハッカー(クラッカー)達を(彼らの経験を対策に活かすために)雇っているか。
言いたかったのは、鍵を売りたきゃ、まず、盗人に盗みを働かせなさい。被害があれば対策がビジネスになりますよ、という事。

改めて、プロプライエタリ≒お金になる事が最優先、オープン≒お金より善悪、という根っこにある価値感の違いを感じずにはいられないニュースでした。

※はみ出し: 不快を高めれば新たなビジネスチャンスが訪れる。
「虫歯は怖いよ~」「歯磨きの後はクチュクチュしようね~」「それでも口臭はヤバイよ~」
「美味しいよ~」「食べた後飲むといいよ~」「お腹が出てちゃ格好悪いよ~」
「無駄毛はマズいでしょ~」「薄毛気にしたほうがいいよ~」
「自動だよ~便利だよ~」「エコじゃなきゃ人としてどうなの~」
「老後の安心のために~」「老後は大変だよ~」
・・・ま、いずれ、みんな死ぬわけだけど。

※はみ出し
 "エコグッズ"って、買わなくて済むものを新たな商品として売っているわけで、無くても済むものに地球資源を使っている事になる。ま、エコは、消費促進ワードでしかなくて、地球環境とかそーゆー事とは関係ないわけだ。


※はみ出し
●棒音楽CDコピー保護ソフトによるセキュリティーホール事件
●その会社のユーザー情報漏えい世界記録樹立事件
●イタリアでWikipedia閉鎖の危機?




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