木曜日, 11月 11, 2010

効率的な抗議への対処の仕方


以前書いた気がするが、多分、一生忘れられない見事な喧嘩を目撃したことがある。
そのシーンとは、まず相手に言いたいことを言わせ、ジワジワと顔を近づけていく。
相手が一通り話し終えたり近づいた顔に怯んだ瞬間に「お前、口臭いんだよ」の一言でケリを付けたのだ。

もう十数年も前の話なのに、未だに忘れられずにいるほど、このシーンは衝撃だった。
なにしろ、何をどう考えても、ケリが付いた理由を説明できない。
とにかく、通常の大人であれば、がーーーっと文句を言った直後に口臭を指摘されると、もう、何も言えなくなることは容易に想像出来る。

この衝撃の事実は、その時もそうだったけど、喧嘩慣れした、ややアウトロー的なジャージの似合う人にしかできないと思ってた。
しかし、形を変えて身近にも同じ手法が存在することに気がついた。

ただ、これには、条件がある。
口臭作戦も「普通の人 VS ちょっとイカツイ人」でこそ成り立つ。
普通の人がイカツイ人に「口が臭いですよ」なんて言った日には、負けるどころか命も危ないかもしれない。
同じように、身近にある手法も「立場が上の人 VS 立場が下の人」でなければならない。
自分の部下や立場が弱い取引先相手に有効な方法だ。

部下が言い回しを考えつつも上司に対する抗議をしている。
上司はただ、部下が一通り話すまで待つ。
そして一言。「言葉の使い方が間違っている」。
後は、部下が必死に理由を説明しても「私には理解出来ない」や「あなたの言葉の使い方はおかしい」と言い続けるのだ。
重要なことは、抗議の内容そのものに触れないことだ。議論をしてはならないのだ。

こうなると部下の選択肢は、「キレる」もしくは「諦める」しかなくなる。
どちらに転んでも、抗議は全く伝わらないのだ。完敗だ。

この二つのケースを考えて、ようやく、口臭作戦の理由がわかった。
口臭作戦がとても効果的な理由は、「話を聞かない」事だ。
抗議する側は話を聞いてもらえない限り勝ち目はないのだ。

そもそも抗議するということは、下から上への行為だ。
上司が部下を呼んで同じように文句を言うのは、抗議ではなく説教だ。
説教は聞かざるをえない。なぜなら、聞いていないと思われたら最後、聞いていないことに対する説教が始まるからだ。

裁判所の決定を不服として控訴したようなケースも抗議だ。
そして、そういう場合も、多くのケースで、条件を満たさないとか、そういう理由で門前払いとなる。
これは喧嘩の常套手段だったのだ。話を聞かなければ議論にはならない。一方的に結果を決められるわけだ。

十数年間の口臭作戦マジックのカラクリがようやくわかってスッキリしました。

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