月曜日, 11月 22, 2010

(サーヴァント)リーダーに求められるスキル


ここのところ、そんな事を考える機会があったのでまとめておこうと思う。

まず、タイトルに括弧書きでサーヴァントとしたのは、体育会系的な「みんなだまって俺についてこい」的なリーダーも少なからず存在するからで、これからまとめる話は、そーゆー体育会系的なノリは対象外です。
っていうか、僕個人としては、体育会系的なノリのリーダーの下で力を発揮した経験はないな。いつも、ソコソコで抑えておこう、みたいな感じになっちゃうことが多いんだけど、世の中の体育会系的なリーダーの元で働いている人達はどんなんなんでしょう。息切れしないのかな。

話し戻ってリーダーに求められるスキル。
これって、言い換えれば、リーダーがどんなだったら「一生付いていこう」と思えるかということだ。

一生・・・、ということは、少なくとも短期のスキルではない。
中長期にわたって効力のあるスキルでなければならない。
例えば、システム開発現場でのプログラムコーディングのスキルとか、変化の激しいテクニカル系技術とかではないのは確かだ。

・・・付いていこう、ということは、そのリーダーは自分の行くべき道を示してくれて、なおかつ、示された道に間違いがない、となんであれ信頼できるということだ。
何かで読んだのだけど、山で遭難したグループが、たまたま見つけた地図を頼りに自力で下山した。でも、その地図は違う山の地図だった。っていう話もある。要するに、地図がなければ行動は抑えられる、という話だ。

で、「一生付いていこう」となるわけだから、その仕事を続ける限り有効な正しい道を示してくれる、が、その意味することになる。

これが、終身雇用の時代なら、仕事をしている限りずっと、と言い切れるのだけど、まぁ、今の時代では、下手すると「転職までの間」ぐらいになってしまうのだから、リーダーの活躍の場は奪われたのかもしれない。


●正しい道を示す
言葉はシンプルだけど、「正しい道を示す」は何か、と考えるとなかなか難しい。こういう時は、「道を示さない」「間違った道を示す」を考えてみるといいかもしれない。

●道を示さない
もしかすると、世の中の大半の「上司」は、このタイプになるかもしれない。
僕の20数年に渡る社会人経験でも半分強がこのタイプだった。
これはある意味、楽な上司、でもあった気がする。
本人自身が道を歩んでいないタイプの人だから、まぁ、登山道の休憩場所でお茶をしながら道行く登山者を見送っているようなもんだ。

●間違った道を示す
感覚的には3割ぐらいだろうか。
いや、まず、ここで言う「間違った」とは、あくまで言われた側の主観になる。どういう事かというと、人はみーんなそれぞれ個人的な理由で仕事をしているのだから、道の示し方は、一人一人別個の道を示す必要があるということ。ゴールだって一人一人違えば、当然、そこに至る道はそれぞれ異ならなければならない。
緩いけど長い坂道をゆっくり登る人もいれば、直角に切り立った岩を一気によじ登る人もいる。
というのに、このタイプの上司たちは自分の主観でゴールと道を指し示し、結果、部下達は付いていかない(消極的サボタージュ)ことになる。

●正しい道を示す 1.0
感覚的には5%か。
ここまでの考察(←なんなんだこの表現は)から、正しい道を示すということは、「一人一人の事情にあわせたゴールとたどり着くための道を示す」ということになる。
「一人一人の事情にあわせた」ということは、このアプローチだとせいぜい数百人までしか掌握できないことになる。でも、現実に、数は少ないけど、数千、数万人の社員に対してリーダーシップを発揮するトップマネジメントも存在する。
これはどう言うことか。

●正しい道を示す 2.0
感覚的には1%ぐらいか?
一人一人の事情にあわせたいが、相手が多過ぎて物理的に困難なケースを考えてみよう。今度は、逆方向から考えれば良い。
「一人一人の事情に合わせる」ということは、結果から見れば、「一人一人が自分の事情に合わせてゴールや道筋を考えられる」ということになる。
うーむ。これは実は凄いことだ。だって、一人一人が自分の事情に合わせて考えたゴールなのに、組織全体としては、きちんと一つのゴールに向かっている状況を作り出すなんて、神業としか言いようがない。

●神業はどうやって成り立つのか
と、書いてみたけど、こう書くと何にも思い浮かばない。
神業の所以を考えてみる。
・相手が多過ぎ。一人一人の事情を聞くことが出来ない。
なるほど。じゃあ神はどうするのか。

●個別に会話は限界がある。ベストではないがベターな方法。
・社員満足度調査など、せめて、大括りで事情を推察する。
・1on1は難しいけど、せめて、1onNで会話する。タウンミーティングや目安箱的な。
・出来る限り末端の現場に顔を出す。顔を出したらついでに声をかける。
・声をかけられたら真摯に応える。

●ベターな方法の効果
書いていて気がついたのは、特に後半の現場に顔を出して何かしらリアクションをするリーダーは、その周囲にいた人の多くが自分も直接会話したような疑似体験したような気持ちになれることだ。
場合によっては、その話を伝え聞いただけでそんな気持ちになれる。
また、似たような経験をした人は、その話を聞いた際に、「そうそう、私もこの間・・・」という風に、もはやリーダーの預かり知らぬところで個々人達がリーダーとの繋がりを感じるようになる。のか。

●語学的に曖昧だが明確な(伝わる)メッセージ
結局、「話を聞く姿勢」が根っこに必要なのは間違いない。
真摯に話を聞くから、みんなが共有できる「ゴール」を示さざるを得なくなるし、みんなが共有できる「道筋」を示すことになる。そして、その「ゴール・道筋」は、きっと、一人一人が自分の事情に合わせて読み替えられる程度の曖昧さがあるのだろうけど、ここで言う曖昧さは、語学的に曖昧だ、という意味で、受け取る側は明確なメッセージとして実感しているに違いない。
「熱意」とかそういう類のものかな。

●厄介なこと
積極的に話を聞く行動を取るリーダーと話を聞く姿勢のないリーダーと、結局、表現するメッセージ内容に大きな違いはない。
どの企業も同じようなメッセージだし、トップが代わっても、まあ、表面的には変わりはない。
そう考えると、メッセージ内容の問題以上に「聞く姿勢」が重要だとわかる。
厄介なのは、"姿勢"なんて曖昧なので、「あなたは聞く姿勢がないからついて行けない」とリーダーに叫んでみても、多分本人的には「それは貴方が聞いていないだけだ」と水掛け論にしかならないだろう。
ま、そういう場合は、大人なんだから大人しく、「普通だな」と思うしかないんだろうな。

●棚ぼたなこと
一方、一人一人が自分の事情に合わせてゴールや道筋を捉えるから、仮に、ちょっとぐらいリーダーの指さした方向が間違っていても、あるいは、リーダーの歩む道が獣道で歩き難かったとしても、まぁ、なんとか前に向かって進んでいくんだろうな。
「一生付いていこう」って思ってたはずなのに、「勝手に前に進む」状態になる。これって、リーダーいなくてもいいじゃん的な状態に見えるけど、その状態が維持されるのは、そんなリーダーがいるからなんだろう。
「する人」から「いる人」になるわけだ。いてもらわなきゃ困る人。


●今日の結論
リーダーに必須のスキルは「人の話を聴く姿勢」。
↑傾聴って言うんだよね~。



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