月曜日, 5月 16, 2011

満足度を考える - テレビや新聞って満足度調査気にしてる?-


地デジのハードディスクレコーダーがいっぱいになっても最後まで削除できない番組、タモリ倶楽部。
先日の放送が秀逸だったので書き留めておこう。

この番組、なにしろ、僕の満足度が高い。
そのうえ番組そのものの本当の意味でのクォリティーも相当高い。
本当の意味、と書いたのは、お金をかければ上がるクォリティーではないという意味。

そのクォリティーの高い点を挙げると、
・効果音に至るまで細かいネタ(空耳的ダジャレ)が効いている
 番組に数十種類の効果音的なBGMが差し込まれるが、たぶん、その全てに神経を配っている。
・収録を出演者、特にタモリ、が間違いなく楽しんでいる
・番組制作そのものを制作者がかなり楽しんでいる
 よく言えば神経を配っている。言い換えれば、楽しんでるからできる。
・(聞くところによると)超低予算。テレ朝で最後に地デジ対応(16:9)した番組。
 オープニングのお尻フリフリダンスもダンサーは公募、かつ、選定自体を番組化。
・鉄道や模型、アナログオーディオなど、一部のテーマは不定期ながらもテーマの掘り下げ方が半端ない。
 この番組で鉄道道の奥深さと幅広さを知りました。
・"実"を取ったそのテーマを語るゲスト選定。(煩いだけのコメンテーター的な出演者はいない)
 その事を語らせてくれるならノーギャラで良い、的な人達の出演。
・ウザいテロップが無い。ウザい間を埋めるだけのBGMや効果音が無い。
などなど。

なにしろ、20年にもわたっての超ロングセラー番組。
ロングセラー番組のトップ10には間違いなく入るだろう名番組なのだ。

テレビ番組もタダで見られるとはいえ、商品だ。
僕らは間接的に番組にお金を払っているのだ。
勘違いしている番組がほとんどだけど、番組は、スポンサーが作るわけではない。
視聴者が今のところスポンサーを支持しているから番組は成立しているのだ。
(個人的には、近い将来、消費者が今ほどTV-CMに依存しなくなると期待しているが。。。)

僕の推測では、革命まっただ中の中東の国々では、独裁政権下でのテレビ新聞は回覧板ぐらいの意味しかもたなかったはずだ。
必要な情報(上からの何らかのお達しやごみ収集日のお知らせなど)があるから見る。しかもタダだ。
それは支持するもしないも関係ない情報。満足するもしないも選択肢がない単なる習慣。
日本は違う、というのが世間一般の感覚だけど、実態は、東電と同じように選択肢がない寡占化された放送を見ているだけという意味で中東と大差ない。。。
(現に、今、原発の被災地では、テレビ報道のみを信じてる人は少ないのではないか?)

話を戻して、タモリ倶楽部。
先日の放送でのテーマは「タモリ倶楽部番組進行役の苦労話」だった。
タモリ以外に毎回テーマに合わせて番組進行を担当するタレント+局アナが、タモリ倶楽部ではいかに苦労しているか、という内容だった。

カンペや台本、手札(進行役が持たされる進行内容を書いたカード)、制作側の様子、出演者たちの様子などなどをいつものタモリ倶楽部的な構成の中で語り合うのだ。
で、いかにこの番組が、他の番組とは違って、進行役や出演者、場合によっては大御所タモリにまでも気を使っていないかがよくわかった。
読みにくいカンペ、読みにくい上に大雑把な手札、集合しにくいロケ地の地図、などなど。
他の番組では大切にされる進行役が全くぞんざいに扱われる、ということを面白おかしく番組で紹介していた。

そうなのだ。番組そのもののコンピテンシーに制作側の持てる力を集中すれば、そんなところに力を入れる余地は無いのだ。
そんなことはプロの進行担当が気を利かせばどうにかなるのだ。
実際、タモリ倶楽部がそれを証明しているわけだ。

逆に、他の大して記憶にも残らないほとんどのテレビ番組は、それだけ進行担当に気を使っているということだ。
しょっちゅうテロップの漢字を間違ってるクセに、制作側の身内同士でとても気を使って仕事しているわけだ。
番組制作に関わるパワーが視聴者と関係ない部分で失われていっているのが他の番組なのだ。
視聴率は気にするが、視聴者の満足度に集中できていないのが他の番組なのだ。

結果、やれ看板番組だ、巨額予算投入番組だ、新機軸だ、本格的なになにだ、ゴールデン進出だ、視聴率トップだのなんだの言ってる番組が続かず、こうして淡々と深夜で楽しんでいるタモリ倶楽部が長寿番組になっているわけだ。

そもそも視聴率は満足度の一部でしか無いのに、視聴率でしかモノを測れないテレビ業界。
少なくとも僕のところにテレビ局から満足度調査のアンケートが回ってきたことはない。
よくよく考えれば、毎週政権支持率を調査するぐらいなら、テレビ番組満足度調査を年一回やったってバチは当たらないだろうに。。。

と、こんな事を考えていて、そういえばタモリ倶楽部のこのノリは、youtube的だな、と気がついた。
まずは、制作(撮影)する側が心底楽しめるテーマを、制作(撮影)自体を楽しみながらも、深夜番組(分かってくれる人が見てくれたら良い)以上を求めず、ロケ(普段の生活の場所)地で普段着のまま、の番組なのだ。

もちろん、ノリはネットテレビ番組的だが、youtubeやニコ動とは比べ物にならないプロの番組だ。
そして、何よりすごいのは長寿番組であること。
いつか、地上波が消えてもタモリ倶楽部という番組は生き続けるだろう。
いや、さすがに地上波の寿命よりタモリの寿命のほうが短いか。失礼。

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