木曜日, 6月 23, 2011

タバコ部屋の奇跡


↑のビデオはまさにワールドカフェを開催しようとしている冒頭の説明風景。


一般にタバコ部屋では会話が進む。
非喫煙者には申し訳ないが、割と仕事の重要な話なども、タバコ部屋で耳に入ることが少なくない。

長い退屈な会議を終え、その会議で一言も発しなかった参加者が、タバコ部屋で核心をつく発言をすることすらある。
そして、会議で決まらなかった結論が、タバコ部屋で決まることすらあるのだ。

タバコ部屋マジックだ。

先日、World Cafeという方法の会議を体験した。
この会議の方法、タバコ部屋と同じように議論が深まる。
しかも、ファシリテーター無しに自然に深まるのだ。

ファシリテーターがいない代わりに、ひと工夫あった。
トーキングオブジェクトの存在だ。

私が体験したWorldCafeのルールでは、テーブルに一つしか無いトーキングオブジェクト(ぬいぐるみ)を持った人にしか発言権はない。
持たない人は、持った人の発言を言葉を挟むこと無くじっと聞くしか無いのだ。

朝まで生テレビではどうだ。
トーキングオブジェクトの代わりに、田原総一朗が場を仕切る。
とはいえ、仕切りきれなくなったり、あるいは、田原自身が発言に言葉を挟んだり、どうしても恣意的に議論が進んでいると言わざるを得ない。
特に、最近の田原さんは、お年のせいなのか、以前のような精彩に欠けているように感じる。
10人もの参加者を仕切るのは、それだけ、体力も神経も使うタフな仕事なのだ。

もうひとつ気がついた。
トーキングオブジェクトを持ちながら話す人の、どこか楽しそうな雰囲気。
そりゃそうだ。いい大人が、例えば豚のぬいぐるみを手に話すのだ。

エキサイトしようにも、あなた、手にしてるのはサングラスをかけた豚のぬいぐるみですよ。

そして、トーキングオブジェクトを持ってさえいれば、確実に話を聞いてもらえる。
この効果も大きい。
その場で自分自身が必要とされていると感じることが出来る。
自分自身の意見をもとに、たとえ逆の意見が出てきたとしても、それは自分の意見があったからこそなのだと感じられる。

そうやって、発言すればするほど、、、そう、気持ち良いのだ。
発言が気持ち良いと感じられない会議が多いことの裏返しかもしれない。
が、気持ち良いからやめられないのだ。

話戻ってタバコ部屋では基本的にリラックスしている。
それに加え、上司や部下の垣根も低くなる。所詮、日陰のタバコをやめられない人間同士だ。
さらに、タバコを咥えている間は会話が続けられない。相手に話を委ねる。

もう一つ大事なことを忘れていた。
場の話だ。World Cafeでは、普段のオフィスを離れ、カフェのような場で行うとされている。
皮肉にも嫌煙権の意識が進んだ結果、タバコ部屋はオフィスからどんどん離れていく。
冗談ではなく、オフィスの敷地内では禁煙で外や近所のカフェに行かざるを得ないケースだってあるだろう。

なるほど、タバコ部屋のマジックとはそういうことだったのか。
World Cafe方式の会議は、割と新しい概念のコミュニケーション方法らしいけど、喫煙者の僕はもう何年も日々体験していたわけだ。

だからといって、タバコ部屋方式の会議、とは言えないわな。
ひとり密かに心の中でだけ思っておこう。

0 件のコメント: