土曜日, 10月 02, 2010

紙と鉛筆と電子黒板


ほんの思いつきで「電子黒板」を購入した。
黒板というと、教室にある、ドでかいモノを想像してしまうが、購入したのは、iPadみたいなもの。A5サイズの板である。

機能は、手描きでの書き込み(書いたまま表示)と書き込んだ内容のクリア(消去)である。
それ以外には、、、、何も出来ない。
要するに、紙と鉛筆と消しゴム、を電子的に実現したものだ。正確には、紙一枚と半永久鉛筆と半永久消しゴムかな。


この手の電子機器にありがちな、データ読み込み機能、保存機能、通信機能、キーボード接続、メモリカード接続、画面の明るさ調整、なんかの音を出す、などなどの機能はオプションでもなんでもとにかく一切ない。

ただただ消去ボタンを押すまでの間、画面をなぞった軌跡を表示続けるだけの電子機器だ。

ちなみに、電気を使うのは消去時のみで、いわゆるe-inkとか電子ペーパーと言われている技術の製品。
機能は天と地ほども違うけど、有名所では、amazonのkindleが同じ類の表示技術を使った電子書籍だ。

さて、およそ5000円ほどかけて、なんでこれをゲットしたか(納期に若干時間がかかるらしい)なのだが、自分で買っておいて言うのはなんだけど、よくわからない。
いや、分かっているのだけど、言葉にすると変なのだ。

ゲットした理由は、
「電子的なメリットのほぼ全てを殺した電子的なモノ」
だから。だ。

データの再利用が不可という時点で、電子的なメリットはほぼ皆無だ。では、どんなメリットがあるかというと、
・資源を全く使わずにモノを書ける
・ペンがなくても指でも爪先でも箸でもなんでも書ける。
・僅かなエネルギーのみで書いた内容を全て消去できる。(50000回消せるらしい)
ぐらいか。

だっら、メモ帳を使えばいいじゃん、安いし残せるし、と思ってみたのだけど、僕の場合、実生活でメモ帳は使っていない。
紙は、せいぜい考えがまとまらないときに何かの裏紙にぐちゃぐちゃ書いてみるぐらい。考えがまとまったらPCに転記して、その後は丸めて捨てちゃう運命。一枚として紙で残してはいない。

しかし、よくよくよくよく考えてみると、この電子機器は、
「電子機器のメリットをほとんど省いた電子機器」
だ。

これは、
「牛丼の牛のほとんどを省いた牛丼」
「スポーツカーのスピードのほとんどを省いたスポーツカー」
「音がほとんどしないラジオ」
「波がほとんどない海」
「食欲のほとんどわかない秋」
「女性らしさがほとんど無い女性」
・・・
のような感じではないか。

こう書き並べてみて分かるように、「ほとんど」がキーだ。
全く無いのではなく、「ほとんど無い」ということは、「ちょっとはある」ということで、「厳選してある」可能性もあるわけだ。
「牛丼の牛のほとんどを省いた残りの牛肉」がどれだけ美味しいのか、そこに大いに期待しているのである。
ロマンチックな表現をすれば、「波打ち際の砂浜と木の枝」のような感じに惹かれるのかもしれない。どうせなら、恥ずかしいことを書いて(消して)みたいものだ。

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