火曜日, 10月 26, 2010

定番)目で見るのではなく心で観るのです




先週末、「七人の侍」を初めて観た。
不明瞭な音声と侍言葉と百姓たちのずうずう弁に日本語字幕付きで観た。モノクロだ。

見始めてやめようかと一瞬思った。
言葉も聞き取りにくいし、映像も荒いし、ただ、物珍しさはあった。
しばらくするとストーリーに引き込まれ、今はもうどこにも無いであろう日本の田園風景や草花の映像そのものにも引き込まれた。

面白い感覚だと思ったのは、モノクロで表現される美しさだ。
最初は引いたカメラの画面、遠くの景色を写しているシーンが、妙な間があるように感じた。モノクロの風景をジッと見なくてはならないと感じる"間"だった。
しかし、その"間"が、遠くの山々や草花、農村の風景を心に留める為に必要な"間"だと気がついた。

モノクロだから、当然、色は無い。
しかし、人工物は前提となる知識がなければ色を想像するのは厄介だけれど、自然のものは心のフィルターで色を重ねることができる。

見慣れてくると自然に心のなかで色を重ね、結局、今、こうしていても数々の美しいシーンを思い出せる。これは自分でも驚きだ。これが黒澤マジックなのか。


冒頭のYoutubeの動画、もう一本が、最近ではテレビなんかでも紹介されるようになった写真「Small planet」の動画版。
リアルな世界を特殊なフィルターで加工することでミニチュアのように映しだす。

このフィルターを通して、正に今の世界を映しだされたとき、自分が何か神にでもなったような気分で、なのに、ミニチュアフィギュアのように見える人間ひとりひとりがいとおしく感じる不思議な気持ちにさせられる。
それは動画になっても変わらなかった。

3Dも目新しさでは凄いけど、あえての2Dや1D(←本!?)、いや、表現形式に関わらず自分の目を通して、そこにあるものを感じられるといいよなぁ。

ちなみに、黒澤映画「七人の侍」、名作・古典と言われるが観たことがない人のほうが多いんじゃないかと思う。
この映画、と、短く説明しようと考えたけど、どうにも一言では言い表せない。あまりに色々なテーマがスマートに詰まった娯楽映画だった。
きっと、こういう映画を「観る人それぞれに感動を与える映画」というんだと思う。

心の目を訓練するにもオススメです。

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