木曜日, 11月 24, 2011

殿堂入りのプロジェクトマネジメント



http://history.nasa.gov/ap11ann/adminbios.htm
↑のリンク先に、アポロ計画の主だったマネージャー達が紹介されている。


当時はまだ、プロジェクトマネージャー(以下PM)のバイブルPMBOKも無かった時代。
ケネディー大統領の発表時点では、一部の人々からは「荒唐無稽」とまで言われたプロジェクトがアポロ計画だ。

当初、A~Gまで7つ計画されたミッションを完了させたのは当然、最終的にはH~Jまで計10のミッションを完了させた。更に、当初計画ではアポロ20号まであったものが17号で終了(ミッションコンプリートで前倒し、残り3号分の予算はスペースシャトル計画に回された)できたのだ。

これは、明らかにスーパープロジェクトだ。
もし、プロジェクトXの世界大会があれば、殿堂入り間違いなしだ。
ケネディーの言葉を借りれば、「このプロジェクト以上により強い印象を人類に残すものは存在しない」壮大な成功プロジェクトだ。
(但し、地上でのシミュレーション中に三名の宇宙飛行士を失っている。合掌。)


プロジェクトキックオフのメッセージとも、プロジェクト憲章とも言えるのが有名なこれだ。(Wikipediaより)
 1961年5月25日、ケネディは上下両院合同議会での演説で、アポロ計画の支援を表明した。
「まず私は、今後10年以内に人間を月に着陸させ、安全に地球に帰還させるという目標の達成に我が国民が取り組むべきと確信しています。この期間のこの宇宙プロジェクト以上に、より強い印象を人類に残すものは存在せず、長きにわたる宇宙探査史においてより重要となるものも存在しないことでしょう。そして、このプロジェクト以上に完遂に困難を伴い費用を要するものもないでしょう。」


素晴らしいメッセージだ。力づけられる。勇気が湧いてくる。
そして、なによりも判りやすい!


仮に、当時のNASAで掃除夫*をしていたとしても、誇りを感じただろう。そんな力を与えられる言葉だ。
とはいえ、言葉ならどうにでもなるかもしれない。ましてや政治家の言葉だ。
*掃除夫に他意はありません。あぁ、ネットって面倒くさい。


ここは疑い深く、本当に素晴らしいキックオフのメッセージだったのかどうか、検証してみよう。
どう検証しようか考えたのだけど、アポロ計画と同様に、10年以上の歳月をかけた国家的なプロジェクトとしての日本の「もんじゅ」を比べてみよう。←別にもんじゅでなくても良かったのだけど、国家プロジェクトと聞いて思い出したのがもんじゅなのだから仕方ない。


、、、と思ってググったが、当時の首相の言葉は見つけられなかった。

代わりに動燃30年史にこんな記述があった
「1.高速増殖原型炉「もんじゅ」の開発の目的と進め方
 高速増殖原型炉「もんじゅ」は、原子力委員会が策定した~中略~昭和43年以来開発を進めてきた発電プラントである。」
ソース→http://www.jaea.go.jp/jnc/siryou/30nensi/index.html

あるいは、昭和31年の原子力白書に首相ではないが当時の大臣の言葉があった。
「世界の原子力の平和利用は,~中略~
 さらに世界の原子力利用の~再中略~
昭和32年12月
原子力委員会委員長    
国務大臣   正力 松太郎」
ソース→http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/hakusho/wp1956/index.htm


ケネディーの演説とは大違いだ。「○○に基づきやるのだ」「世界がやるからやるのだ」でしかない。
その上、「分かり難い」。伝わらない、というより、伝える気が無かったのだろう。
最初から他責の論理だった。自分の国ながら残念だ。

だって、ケネディーの演説は、「我々がやらねばならぬのだ」だ。
あくまで自責なのだ。


なるほど。プロジェクトの成功とはそういうことだ。
責任者が自分の責任において、「やるのだ」という意思を明確に発することが重要なのだ。
長らく日本の政治が何もできないのは、そういうことなんだろう。

イノベーションの本で読んだ、「成功への絶対条件は危機感の共有」という意味がよくわかる気がする。
もし、今なお、"もんじゅプロジェクト"を継続するのなら、「少なくとも今まで作り出してしまった核廃棄物を最終処理するために、やらねばならぬのだ」と言ってくれれば、原発への賛否はともかく、共感できるのに、と思った。

※はみ出し
 もんじゅ計画を含め、核廃棄物を最終処理できる技術を人類は未だ持っていない。念のため。
 じゃあ、どうするかといえば、事実上「放置」「海洋投棄」「数百メートル地下に格納」のどれかだ。
 宇宙投機は「万が一失敗(空中で拡散)した時のリスク」から誰も踏み切れないのだそうだ。
 唯一期待できそうなのは、「軌道エレベーター」だが、まだ先の話のようだ。

※はみ出し2
 ↓は"原子炉圧力容器内の放射能除去装置"という特許情報。ま、僕のような素人が考える言葉のイメージ通り使えるならフクシマは困らないわけだが。。。
http://www.patentjp.com/06/U/U100012/DA10016.html

※はみ出し3
 ついでに、「宇宙エレベーター協会」という団体があり、前述の軌道エレベーターを語り合っている。
http://jsea.jp/

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