木曜日, 6月 26, 2008

キムタカ

キムタカといっても何のことかわからないのはナイチ(本土)の人。
漢字で書くと、「肝高」で、"志を高く持つ"意味を持つのだそうだ。

そのキムタカという本を読んだ。
中年の僕に、「情熱」が込められた日々、その積み重ねが持つ素晴らしい力、そんなことを再認識させてくれた本。

沖縄で巻き起こった、子供たちによる演劇活動を中心とした一大ムーブメント。そのムーブメントわ期せずして巻き起こした若者が書いた本。(マーケティングだとかビジネスモデルだとかでは絶対に起こりえないムーブメントなのです。)
そのムーブメントの始まりは、沖縄の寂れつつある歴史ある街の再生の話。街の再生を子供たちを通じて実現する話。いや、子供たちが親を、大人を、最後には地域を動かしていく素敵な話。


正直、実話なの!?っていうほど、ロマンのある、しかも、つい最近の話。


何がすごいって、沖縄全体を揺るがすようなムーブメントが、最初は本当にたった一人の純粋な情熱から始まったことに驚きます。そして、その情熱の源は、ただただ純朴に正直に自分の生きる意味を問い、自分の成長を支えた両親への感謝、そして、自分の感性を育んだ環境への感謝の気持ち。


この感謝の気持ちが半端ではない。
筆者の平田大一さんは、自分を構成するものが何かを真剣に考え(しかも大学生の若さで!)、自分を構成する人や環境への感謝の気持ちに真剣に向き合う。
結果、東京で掴みかけていた表現者としての成功に安住し活動の場を東京にすることよりも、自分を育んだ"島"(小浜島:沖縄の離島)で暮らしていく事を決断する。


当然、生活は厳しく表現者として大衆の賞賛に触れることも無い生活。普通の人の感覚では、ここで、「やっぱり都会に行かないとダメだ」と感じてしまうところ。島の人たちも、「何で東京の大学にまで行っておきながら帰ってきたんだ」と戸惑う。


しかし、彼は誇り高く(キムタカ)自らを育んだ土地を愛し、土地が育んでくれた自分自身を愛し、一人で出来る事(投資できるわけでもなく、本当に最初は小さな活動)から始め、それが沖縄全体を包み込むようなムーブメントへと発展していく過程は、とかく中年になって失いかけている情熱というものをもう一度信じずにはいられなくなるような、とても元気が出るお話でした。


一つ一つのエピソードが、子供のエピソードであれ、大人のエピソードであれ、もちろん平田さんのエピソードであれ、深く心を打たれっぱなしの一冊でした。
(嬉しい涙を流したい時に読むと良い本です。)



ちなみにこの本。休日に近所の中学校のバザーに立ち寄った際に、PTAのお母さん?に薦められて購入しました。本当はその場で、その後も脈々と続いている中学生の演劇のチケットを売っていたんだけど、自転車では行けないさそうな所(ヒヨっちゃいました。。)だったので、代わりに本を売ってくれた(買わされた!?)のでした。
この本の買い方もなかなか意味深い、と、読み終わって思ったのでした。
間違いなくこの本は老若男女にお勧めです。

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