水曜日, 7月 09, 2008

アクセシビリティ(利用しやすさ)とソーシャルネットワーク

質問①
目が見えなくなったらネットを諦めますか?
・諦める必要はありません。そもそも、たまたま目が見えてる僕は普段気にせずにPCやネットを使っていますが、視覚障害の方々だってPCもネットも使っているのです。

質問②
WEB2.0とかソーシャルネットワーク、話題になる前と後、あなたの生活は何か変わりましたか?
・なんだろーなー。よくわかんないなー。でも着実にこの潮流は私たちの生活を変えようとしています。


さて、質問①/②を踏まえて、、、、

Wikipediaに代表される「ユーザー参加型コンテンツ」。
発想はネット上のBBS(掲示板)の緩やかな相互チェック機能を、もう少しシステマチックにして、とかく「便所の落書き」になりがちなネットのコンテンツの正確性や即応性を担保していくというもの。
これには、ある程度多くの利用者数が必要なんだけど、ユーザーから支持されたサイトに関しては予想を遥かに超えて成果が出ています。wiki無しではいられない人は相当多くなっている。僕もその一人。
wikiの話はこれぐらいにして、久しぶりにこの潮流を旨く活かそうとした、そしてうまくいきそうな、うまくいったらいいなというニュースがありました。


随分前、10年ぐらい前になるけど、休日に視覚障害者のお宅を訪問してPCのセットアップや調整のボランティアをした事があります。
彼らは、PCの画面を読み上げるソフトを使ってネットサーフィンやメールをします。
そこで、PCの設定がおかしくなってるのを直したり、音読のソフト("読み上げ君"とか言ってたかなぁ。。。)をセットアップしたりするボランティアです。


この活動に参加して知ったのは、よくネットについて言われる「情報革命」が本当に起こっているという事。
ネットが広まる前の彼らの主な情報源(ソース)は、点字に翻訳された書籍、もしくはボランティアにより音読されたテープなどに限られていました。あるいは家族が読んで聞かせるとか。
当然、目が見える人たちが入手できる情報量とは雲泥の差だったのです。
ところが、ネットでデジタル化された情報が広く公開されると、音読ソフトを使うことで、ハンディキャップの無い人たちと同じ情報に、同じタイミングでアクセスできるようになった。
それこそ、このままだと点字の識字率が下がるんじゃないかという事まで話題になるほどインパクトのある出来事だったのです。


これは、同時に「アクセシビリティ」という問題が起きてきました。
これは、W3CというWeb標準化を進める団体が決めたHTML(ホームページの書き方)の規格にきちんと沿っていれば、読み上げソフトである程度は大丈夫なんだけど、インターネット初期のシンプルなページの時代はともかく、最近はビジュアルを重視したホームページが増えて規格に準拠していない事も少なくない。
例えば、リンクボタンが無くて絵や写真の一部をクリックするようなホームページだと、読み上げソフトは適切にガイドできない。(電子音声で)「メニュー・リンク、シャシン(写真)1、シャシン2・・・」のように読み上げられても何がなんだかわからない。
作っているほうは(無駄に)見た目に華やかなページを作りがちだけど、まさか、そんな風に音声読み上げでアクセスしている人がいるなんて知らない。
でも、読み上げソフト経由でアクセスしたかった人にとってはもちろん、ホームページを読んで欲しい側にとってもアクセスしてもらえない残念な状態だったのです。


で、こればっかりはどーにも出来ないかなぁ、、、と思っていたところ(W3C準拠=アクセシビリティを判定するソフトとかもあったが普及したとは思えない。。)で登場したソーシャルアクセシビリティのプロジェクト。
専用の読み上げ機能付ブラウザでサイトにアクセスすると、必要に応じて、そのサイトが読み上げソフト用には表現できていない情報(「シャシン1,シャシン2・・」、、とか)を、ユーザー相互に登録しあった補完情報を参照してガイド(「シャシン1セイヒン、シャシン2サポート・・」、、とか)してくれる。当然、補完情報の充実が必要なわけで、読み上げソフトで再生出来なかったサイト情報を登録すると他の(見ることが出来る)人が補完情報を登録する仕組みになる。

ここまでは、なんであれ大量の情報メンテナンスが必要になって大変だろうなー、、、っていう話。でも、ここからが凄い。
サイトごとの修正数のランキング表示もされるので、「たくさんアクセスされるけどアクセシビリティの悪いホームページ」の運営者はW3Cやアクセシビリティを意識したホームページを作るようになるきっかけにもなりそう。
例えば、ある企業が、"派手にネットで活動している割にアクセシビリティではワースト1位"なんて事になると、多分、自ら読み上げに対応したアクセシビリティの高いホームページに改訂する事になるでしょう。


ということで、今後の展開が大変楽しみなのでした。
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