水曜日, 10月 29, 2008

悩むということ

人が悩んでいるときに何と言ってあげられるだろう。
「人は悩んで悩んで、そして成長するんだ。がんばれ。」
だったり、その悩みに相談に乗ってあげたり、お金で解決する話だったら支援してあげたり、話を聞いてあげるだけでも悩みが溶解する場合だってある。

人は、大概、人それぞれ違いはあるものの、悩みを抱えているものだ。
悩みの大きさや悩みの深さ、場合によっては根深い悩みを抱えていながら日々暮らしている。
そして、その事が悩むような事かどうか、は、人それぞれで違う。
キムジョンイルになりたいと思わないのは、端から見ても彼の悩みは根深そうだ、自分には耐えられなさそうだと感じるからに他ならない。


根深い悩み、あるいは解決できない(後悔に近い)悩みは、普段忘れているようでいても確実にそこに居座り続ける。日常の悩みレベルを通り越して「業の深さ」に辿り着くような、もはや消えようのない悩みもある。
普段忘れているようでも、なんとなく居心地は悪く、何か考えた瞬間、何かのタイミングで、こうやってブログを書いたりしているときにも、時折、その塊はチクチクと存在をアピールする。
そして、今は忙しさや楽しさに紛れ込ませて蓋をしていたりすることも、ままある。


大家族や地域社会が個人の悩みを共有し、やや乱暴に、その悩みを無理やり解決させていた時代があった。
自分で蓋をしようとしても、周りが放っておかずに、余計なお世話をして蓋を外してあげていた時代。
20年以上前、田舎を出て都会で暮らす事を選んだのは、その煩さから逃れたい気持ちも大いにあった。
田舎=つまらない、都会=楽しいの構図がまことしやかに信じられていた時代。(少なくともアホな僕はそうだった)

代わって今は、カウンセラーやネットのコミュニティがその悩みを共有したり解決してあげようとしてくれる。
対話会みたいな形式だったり、掲示板での相談だったり、セラピーだったり。
電車のつり革やバナー広告や繰り返されるダイエット本、個人の悩みをビジネスモデルに取り込もうとさえしている。
なんだかなぁ。ビジネスの中では悩みを抱える人は「需要」と捉えられそうで感覚的に嫌な感じだなぁ。


厚生労働省統計調査結果「自殺死亡統計の概況」っていうのを見つけた。
日本の男性は60歳をピークに若年層から徐々に右肩上がりで自殺率が上がっていくようだ。
そして、ここで開示されている(若干古い)情報によると、悩み多き人の年代/職業のタイプは「50代無職男性」「50代農林水産業男性」「50代サービス業男性」ということが見えてくる。

サービス業に従事し、あと数年すれば50代の入り口が見えてくる僕としては、悩みの種に蓋をしてやり過ごす事は取り返しのつかないことになるという気がした。
悩みを解決するのは自分自身でしかないが、解決、もしくは悩みとうまく付き合えるようにするのは悩みが大きくなる前に仕掛けを用意しておいたほうがいいと感じるようになった。
それは、自分の中にある悩みの蓋を外し、そこに悩みが存在することを確認すること。
確認したら、その悩みを誰かに見てもらうこと。できれば、信頼するパートナーや親、あるいは(成人した)子供とか。もちろん、専門家だっていい。

そういえば、秋葉原の通り魔は、悩みの末の苦悩をネットにぶちまけていた。そこでも無視された結果、「誰かに止めて欲しかった」まま、凶行に及んだ。
生活の中で、普通に打ち明けられる相手がいなかったのかなと思う。

悩みをうちあけるのはカッコ悪い。(と、割と最近まで僕は感じていた。)
でも、会社の会議で結論の出ない話は嫌われがちだけど、悩みを抱えている日々の生活はビジネスではない。
生きることはビジネスではないんだ。

もっと気軽に悩みを認め、誰かに打ち明けて、たとえ解決しなくても、うまく悩みと付き合えるような「後期中年?」になろう、と思った。

中年を半ばも過ぎると悩み無いに越したことはないが、まぁ、そうも言っていられない。
幸か不幸か、日々、悩みぬきながら暮らすようなキャラでもない。
同じ悩みなら、悩ましい肢体に悩むのが嬉しい後期中年なんだなぁ。(やっぱアホだ。。)

まずは近しい隣人の悩みを聞いてあげる。
その隣人に悩みを打ち明ける。
そうやって隣人同士の輪が広がれば、(ちょっとかったるいかもしれないけど)家族・親戚関係や地域のコミュニティは息を吹き返すのかもしれない。


参考:相談する「誰か」の一覧(都道府県別)
参考:(なにかと評判の悪い厚生労働省の)自殺死亡統計の概況
参考:wikipediaデュルケーム「自殺論」

追伸
都道府県別の自殺率(男性)で、ここ沖縄が秋田・宮崎に次いで全国で三番目という事に驚いた。
これが要因の一つで長寿沖縄は過去の話となっている。
ちなみに出身地の岩手は、秋田>宮崎>沖縄>島根>岩手と、全国で五番目だった。

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