水曜日, 12月 21, 2011

ウラネット


デパートやスーパーで買い物するなら、その店の人が、来店客の様子や動向を見極めて商品の配置を変えてみたり、空調の温度を変えてみたり、あるいはBGMを変えたり、ありとあらゆる「気づき」を活かして、なんとか売上増に繋げられるように来店客の観察をしている。

リアルな世界では売り場を観察するのだけど、ネットでの購買では、ホームページへの来店客の様子をつぶさに見る=記録に残して記録を見るということになる。
そして、ありとあらゆるデータと売上の相関関係を考えていくことになる。

ページを開いてからクリックする時間と売上との相関、年齢との相関、前回購入してからの期間、どこのホームページから辿ってきたかとの相関、PCでアクセスしているのかMACなのかスマホなのかの相関、もうありとあらゆるデータが使えそうな気になるわけで、それをやるためには、単なる顧客リストを凌駕する大量の記録や場合によっては外部の記憶まで含めた「ビッグデータ」が必要になる。

そういうわけで、amazonなんかが顕著だけど、「オススメ」とか言って、思いがけない商品をおススメられたりする。

このアプローチ、最近はなんか面白く無い。
オススメなんかされてから知るようなモノは、きっと、知らないほうが幸せかもしれない。
オススメされずにいたら、もっと、素敵な方法、しかも、モノを買うのではない他の方法に辿り着けるかもしれない。

ということで、こんなネット通販会社があったらどうなのよっていうヤツを書いてみよう。

このネット通販では他のネット通販と同様に、訪れた顧客に様々なガイドを提供する。
もちろん、流行りのビッグデータをバンバン活用しているのだ。
「これは以前にも購入済みですよ」辺りからスタート。これは今でもあるかもしれない。
でもここからは、 購入に対してネガティブなアピールをする。
「これを見ているということは、あれにも興味があるでしょうが、どちらも使われないランキングに入ってます」
「これは中古市場に流れる率の高い商品です」
「これは携帯性に反して電源ケーブルなしでは使えません」
「この商品の耐久性は○ヶ月と思われます。しかも、その前に飽きます。」
「類似の商品が百均にあります」
「この商品の環境負荷・自然に還元するまでの平均年数は12,400年です」
「この柄はあと5ヶ月で流行遅れになります」
「あなたの年齢でこの商品はミスマッチです」
「この商品の購入した顧客の13万4527人が"ダメ(-1)"ボタンをクリックしています。」
「この商品は、あなたよりも○○さんが上手に使えそうです」
「あなたはこのカテゴリーについて飽きやすいようです」
「あなたの今月のクレジットカード決済額は、過去2番目の高額決済となります」
とかとかとかとか。

「それじゃあやってけないじゃん」と思うあなたはまだまだ甘い。
そもそも、ネット通販って、桁が3桁も4桁も大きい桁の顧客数を相手にする。
準備がないと、スカスカオセチ料理のように、とんでもない失態を晒すことになる。

だからこそ、この新しいネット通販サイトでは、ことごとく購買意欲を削ぐのだ。
もったいないを具現化したネット通販会社。
会社(サイト)名は、ウラネットがいいな。←オヤジ臭

で、本当に売りたいモノだけを、顧客を慎重に選んで売る。
「本当に必要で、度重なる購買意欲低下メッセージにも挫けず、オーダーした」
そんなお客様なら、手にしたら心から幸せになれる、だろうっていうネット通販だ。

当然、取扱商品は本当に価値のあるものになる。
環境負荷がとても小さいものがいいかもしれない。
もしかしたら、宅急便での配送はしない、というネット通販でも良いかもしれない。
「購入された方は店頭までお越しください。遠方の方は旅行を兼ねていらっしゃい。」
「簡易包装もしませんので、お持ち帰り用の袋や箱はご自身でご用意ください。」
「(商品ステータス)ただいま注文頂いた商品を店頭に並べて眺めております。」

当然、1% for the Planetなんて甘いレベルではなく社会貢献もする。
「当店では一切値引きいたしません。売上の10%は、お客様の支払いと同時に、レジ前の赤十字募金箱に寄付させて頂きます」
とか。

これは面白い店になりそうだ。っていうか、来店してもらうから通販じゃないし。

でも、これが近所にあったら、何を売るのか知らないが、行ってみたいと思う。
で、何も買えないのだ。売ってくれないのだ。

うーむ。よくわからなくなった。
ウラネットは難しい。

オチ無しです。

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