土曜日, 12月 24, 2011

ポン酢の美味しい食べ方(後編)



どうしてもメインになれないポン酢。
そんなポン酢の窮状を救う「ポン酢メインの料理」を紹介しよう。

これは、ここ、北九州で、まさに今、旬を迎えているフグ、それも"てっさ"だ。

(武田鉄矢風に)
はーい、みんなー、(手を叩きながら)、ざわざわしなーい。
いいですかぁ、ここからが重要ですぅ。
ここからがキモ(フグだけに)ですぅ。


ちなみに、今の今まで知らなかったが、「てっさ」はフグの刺身、「てっちり」はフグの鍋なのだそうだ。
で、それぞれ「鉄刺身」「鉄ちり鍋」が縮んだものらしい。
その名付け親である大阪は、国内フグ消費量の6割を消費するのだという。
大阪人はふぐが好きなのだ。

ちなみにのちなみに、縮むといえば、人生最高体重を謳歌している僕は、セーターに限らず、下着からコートまで全ての衣類が縮んでいるのだけど、それは別の話だ。

話を戻す。
この「てっさ」。
世の中的には「高級料理」「聞いた時、ちょっとハイな気分になる料理」「聞いた時、財布の中身が気になる料理」、、
とされているのかもしれないが、これが、実は、「ポン酢を美味しく食べるための料理」なのだ。
(あくまで「てっさ」(刺身)の話です。)

そもそも、フグの人気というのは、希少とか旨さではない。ここ、勝手ながらキッパリ言い切らせて貰う。
フグの人気は「毒」に起因する珍味的価値なのだ。これも勝手ながら断定させて頂く。

免許を持つ料理人でなければさばけない、うえに、イワシのようには採れた事がないから適度な希少性が維持され、魚全般に言える鮮度の問題から、下関界隈で食べると美味い、とか、そんな事から人気なのだろう。
(実際には、"フグに特化した加工工場"が下関に集中しているのだそうだ。)

で、この「てっさ」の旨さを、この辺りの出身の同僚(約3名)に聞いてみた。
このあたり、北九州市内のスーパーでも、この時期は普通にふぐ刺しが売られている。
さほど高い値段ではない。

そして、その地元のおっさん達の回答は、驚愕のものだった。

A.「よくわからん」
B.「さほど食べたいと思わん」
C.「結局、ポン酢と紅葉おろしで決まる」

そうだ。その、どれも共感できた。

頑張って頑張ってポジティブに表現した所で、結局、フグの刺身は「歯ざわり」以外にフグの味というものは限りなく無に近いのだ。
臭みがないとも言える。

フグの身になって考えて欲しい。
食われないための戦略はそんなにたくさんあるわけではない。
1.食べにくい形の身体になる。
2.食べても不味い体になる
3.ちょっとぐらい食べられても気が付かないぐらい、名前を覚えられないぐらいたくさんの子供を擁し大家族を構成する
4.誰にも出会わないような場所で暮らす
5.祈る

そう、フグは2をメインに選択した。しかも、不味いどころか、「毒」を体内に用意した。
2の完成形だ。
食えるものなら食ってみろ精神旺盛なのだ。
不味い上に毒まで用意したのが彼らの選択なのだ。

しかし、毒生成に進化の力の全てを集中してしまった。
毒の生成は、それはそれは大変な進化なのだ。その毒に自分がやられないように進化しなければならないのだ。
そんなこんなで、フグは、自身の身を不味くする方は中途半端な結果となった。
不味いと言うより、単に味が無いという結果に至ったのだ。

毒+不味い身、なら、スーパーフグだったんだけどなー。

これでわかっていただけただろうか。
「てっさ」は、フグの身の味を味わうものではない。
味わうというのは、「味があって」ナンボだ。
あくまで「てっさ」はフグの身の歯ごたえを、とか、風味をとか、いろいろ世間では言われてきたがどれも、支払った額に対する言い訳なのだ。

「あんなに支払ったのだから、美味かったに違いない」
そう思いたい。人間はそういう可愛い愚かさを持ってるのだ。
プチ情報だが、自分が食べたいかどうか、値段に惑わされずに考えたいなら、
「最後の晩餐に食べたいのか?」
と、自問自答すれば良い事が多い。

ということで、「てっさ」は、実は、ポン酢そのものを味わうための食べ物、なのだ。
試しに、てっさに何も付けずに一口食べる。味わってみるがよくわからない。
次にてっさにポン酢と薬味を付けて食べる。
。。。美味い。

だから、「ポン酢を味わうならてっさ」が真実なのだ。

正確にメニューにすれば、本日のメインディッシュは、「ポン酢のテッサ和え」なわけだ。

ということで、この時期、東京からエライ人が出張でやってくると、「せっかくだから本場のてっさを」などとヌカスのだけど、本当に迷惑だし無意味だからやめていただきたい。

迎え入れる我々は、ポン酢を味わうために度重なる出費を強いられるのだ。
せいぜい、ポン酢に紅葉おろしを味わうぐらいだ。あと、アサツキか。

「ポン酢のてっさ和え」なのだから、適正料金はポン酢代金+αであるべきだ。
それなら、エライ人の要望にも、「どうぞどうぞ、どんぶり一杯好きなだけお食べ下さい」と応えられる。
が、あの値段だ。

いっそ、ロッテ(LOTTE)に「新感覚ガムてっさ」(無味超薄)とかを作っていただきたい。
あるいは、マンナンライフに「新感覚コリコリこんにゃく、てっさ風」(無味超薄)が良いかもしれない。

これなら、飽きるまでポン酢や薬味の味を楽しめそうだ。

しかし歯牙無い(←"しがない"ってこういう字だったのか。。。)平サラリーマンは、エライ人の要望を満たすべく、ふぐ屋の予約に奔走するのでありました。

※ふぐを河豚と書くのは、「ブウ」と鳴くかららしい。
※何度も食べたことがあるわけではないが、白子に関しては美味い。と思う。
が、最後の晩餐に選ぶ気はない。

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