日曜日, 1月 22, 2012

タモリ倶楽部 2/2



昨日からの続き。
昨日は、タモクラの良さのうち、
1.レアなテーマを探しだす
2.レアなテーマを高尚な視点と下衆な視点双方から掘り下げる
3.「実」を取る主義の徹底
まで話を進めた。

では続けよう。

4.正直であることの徹底
前述の下ネタに話題が逸れがちなことも含め、基本、正直である。
今回は"飛び出し坊や"の生みの親に収録現場から電話をかけるという、この番組としては思い切ったテを用意したが、電波状況が悪かったらしく、先方に話が伝わりにくいと判断するや否や、そのコーナーは中断となった。

他の番組でも同様の光景を見かけることがあるが、話を取り繕ったり、先方が言おうが言うまいが、番組司会者が予定調和的な話を補完したりするが、タモクラではそれは無い。
「聞こえていなければもういいです」的な締めくくりで電話は切られ、それ自体放送されている。
タモリ倶楽部は生放送では無いが、当然、必要な編集はされているとはいえ、編集で切り刻まれた感がないのだ。

後述するがソラミミのコーナーを務める安斎さんは、タモクラ界では遅刻の常習者で有名だ。今回の梅屋敷での収録では、ソラミミだけでなく本編にも登場したのだが、30分遅刻したらしく、撮影開始時には間に合ったものの「遅刻したお詫び」とももに、番組開始しばらくしてから撮影に加わっていた。

ちなみに、彼の住まいは横浜のはずなので、梅屋敷まで30分とかからないはずである。
それが、30分の遅刻をしたのだから、彼は、集合時間に家を出たということになる。
一般の人であれば外出先から訪れた可能性も否定できないが、この番組収録は日中なので、彼の朝一の仕事であったに違いないのである。

これがごく自然なテレビカメラの先で起きている事だ。他の番組がいかに不自然かということに、今さらながら気が付かされるわけだ。

5.適度な息抜き
一見、本編も緩い雰囲気で緊張感など無いように思えるだろうが、あまりにテーマが突飛なこともあり、息抜きが必要だ。
ごくたまに、手抜きテーマのように誤解されやすいテーマの時など、ある意味、保険的な意味合いも兼ねての「空耳アワー」コーナーがある。

このコーナー。通常の回では、テーマを掘り下げる本編の出演者はタモリ以外に出演しない。だから、どっか別の場所で、かつ、まとめて収録することも可能なわけだが、必ずロケ地で収録する。
ロケ地が外であっても構わない。とにかく、本編の撮影をしている場所もしくはその近辺で収録されている。

こうすることで、本編とは全く関わらない「空耳」というテーマが、本編の匂いを途切らすことなく番組のほぼ中央に据えられるわけなのだ。

「適度な息抜き」とは、そうでなくてはならない。
仕事中の適度な息抜きが居酒屋で酒を飲むというわけにいかないのと同じだ。
仕事場を離れること無く、意識だけが仕事を離れ妄想に浸る、それが適度な息抜きというものなのだ。

6.柔軟な出演者組み合わせにより広範なテーマを料理
この番組のテーマの範囲は、とてつもなく広い。以前「蟻の飼育」というテーマさえあった。
番組では蟻の飼育にハマっている人達を集め、その、魅力を大いに語ってもらう趣旨だった。
あるいは、昆虫が糞をするシーンを観よう、という回もあった。

このように、テーマを深掘りしようにもどう手を付けるのか、そもそも出演者側には、そのテーマに関して「語れるような人」がいない場合もある。

そこで、タモクラでは、出演者のバリエーションを広げる、という方策を取っているのだが、その方策はユニークなものだ。
例えば今回の「飛び出し坊や」であれば、美術的方向性がテーマになるのは歴然としている。なにしろ第一人者がみうらじゅん氏なのだ。
そして、番組お抱えとも言えるアーティストとして安斎氏を据え、番組の中心にタモリ、とくれば、後は司会進行役をどうするか、ということになる。

他の番組であれば、多少アート方面にも明るいタレントを起用するところだが、この番組はなんと言っても空耳アワーを擁する番組だ。
アート方面、、、、、なら、「ホンコン」でしょう。

ということで、ホンコンが司会を務めるのだ。
今回のテーマ掘り下げで、ホンコンが一司会進行に留まらず、テーマに対するスパイス的な役割を果たしたことは言うまでもない。

7.形式化と破壊(イノベーション)
もはや形式美、とも言える番組冒頭での「毎度おなじみ流浪の番組タモリ倶楽部です。今日は・・・」で始まるタモリに、タモリの話を遮る形で共演者たちが加わる、と、ここまでが形式化されているわけだが、共演者たちがどうタモリの話を遮って、今回のテーマを持ってくるか、が見所の一つだ。

共演者達は様々な方法でフレームインしてくるのだ。
タレント(特に若手芸人)にとって、フレームインテクニックを試す貴重な現場となっているのは言うまでもない。

そのうち、番組事態で取り上げることになると思うが、この番組では、通りすがり系:「お、タモリさんじゃないですか」と入ってくるパターンが多い。
他の番組ではあり得ないが、そこで、「さっきから見てたろ」と突っ込むタモリは燻し銀のような輝きを発している。さすがである。

8.番組のオープニングとエンディングの芸術的な舞踊風景
地デジ化で新しく撮り直された(撮り直し自体も番組化された)オープニング、および、エンディングの舞踊する女性の臀部を後ろから撮影したアーティスティックな映像。
何度見ても飽きない。ありがとう。

ということで、もう充分だろう。
タモリ倶楽部は面白い。のだ。

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