土曜日, 1月 14, 2012

虚しい言葉「エシカル」

多少高くとも道徳的な買い物をする、そんな考え方をエシカル(ethical)というのだそうだ。

元々は「倫理的な」といった形容詞だったらしいが、こと最近は「エシカルファッション」とか「エシカルジュエリー」といった感じで、商品と結びついて使われることが少なくないようだ。

「地球に優しい素材」だったり「児童労働の関与していない製品」だったり、良いことなんだろうけど、結局、"エコ"に続く売らんかな的な流行語になっちゃうと思うと滅入る。
エコの時も、始めこそ本来のエコの意味で使われていたのが、いつの間にか商品を売るためのキャッチフレーズになってしまった。

エシカルファッションやエシカルジュエリー、意味を正確に表わせば、「倫理的素材ファッション」「道徳的製造宝石」とかになる。

うーむ。意味がちゃんと伝わると買う前に「ほんとうに必要なのか?」と一度考えてみる気になる。
要するに買う気が失せるのだ。

が、カタカナのマジックは売る側には都合が良いのだ。
真意なんて伝わる必要など無く、むしろ真意は伝えたくない。
だって、エシカルの真意は倫理的/道徳的なんだから、買い物で言えば「不要なものは買わない」はずだから。
売る側の真意は、理由は何でもよくて買う気が増せば良いのだ。

エコがそうだったように、エシカルも流行りだすと「不要かどうかなんて考えず、とにもかくにもエシカル的なモノを買いましょう」になるわけだ。
こんなならいっそ、理由はともかく今あるモノは捨ててでも新しくモノを買う、そういう姿勢こそが道徳的で倫理的だ、と文部省辺りに認定してもらいたいものだ。

【道徳的、エシカルな生き方】
去年買った減税エコカーは野暮ったいのでエシカルカーの新車に買い換えた。
やっぱりエシカルな宝石に買い換えなくっちゃ。
近所の野菜なんて怖くって。。。やっぱり外国産のエシカルマークの付いた野菜でしょ。
エシカルな水しか飲みませんのよ。水道水ってエシカルじゃないでしょ。
原子力こそエシカルなエネルギー。


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