木曜日, 1月 13, 2011

「トータル・リコール」の世界


映画「トータル・リコール」では、バーチャルリアリティの旅行が舞台となっている。妻がシャロン・ストーンなのに、バーチャルリアリティの火星旅行を試しちゃうシュワちゃんはうつけ者なのだけど、とりあえず、あのレベルのバーチャルリアリティがいつ頃実現できるものなのか考えてみた。


●本日の前提
新しい知識が金になるのは30年かかる by ピーター・ドラッカー
18ヶ月毎に(集積回路の能力が)倍になる by ゴードン・ムーア

●パソコン一昔
昔は、モノクロで、っていうか、そもそも、真っ黒な画面に文字が白く光ってカーソルが点滅していたパソコン。
ちょっと思いついて、当時、80年中頃のパソコンの解像度と現在のiPadの解像度の爆発的増加具合を、ムーアの法則にある倍々ゲームと比較してみた。

PCのスタンダードとなった、IBM PC/ATがEGAというディスプレイ規格で登場したのが1981年。今からちょうど30年前だ。

●IBM PC/ATの解像度*色数
で、この時の解像度および表示可能色数が640×350×16色で、単純に掛けると3,584,000(約350万)になる。

●iPadの解像度*色数
次に、iPad。1024×768×16777216色で、単純に掛けると13,194,139,533,312(約13兆)だ。

●能力比(乱暴者の計算)
13兆を350万で割ると3,681,401(約370万)となり、単純なディスプレイ表示画素及び色数の爆発的増加は370万倍になる。

●ムーアの法則の表
次に、18ヶ月毎に倍増を計算する。アホなのでEXCELで単純な表を作成すると、こんな感じになる。



●あら不思議、意外にいい線いっています。
この表を見ながら、先ほどの、370万倍がどの辺りになるかというと、31.5年目~33年目辺りとなる。

うーん、ツッコミどころ満載だと思うけど、とても都合よい数字だ。
なぜか。ここからが本題。

●バーチャルリアリティ=没入感
Microsoft X-BOXで話題のkinect。コントローラーレスで(体のアクションだけで)ゲームをコントロールできる。
この仕組みのプレーヤーに対する影響は画期的らしい。ゲーム画面の中への没入感が「ハンパねぇ」らしいのだ。

この没入感。久しぶりに「バーチャルリアリティ」を思い出した。
で、3D流行りでもあるので、本当に勘違いするようなバーチャルリアリティの映像はいつぐらいに完成するのか、を考えてみた。

●視界占有率100%を目指して
今、仮に40インチのディスプレイなりプロジェクターを使ってそれなりに視界を塞いだとしても、まぁ、水平方向に45°、垂直方向に15°といった程度の視界占有率だろう。(もちろん、ここでは、人間は後ろを振り返ることも含めて上下左右全てに視界が及ぶと仮定している。)

で、45°と15°というのは、その人が球体に入っていた場合、その球体の1/8と1/24となり、多分、表面積の、1/192でしかない。
この数字、「えぇっ」と思ったが、そもそも、正面しか向かなければそれなりの視界占有率になるが、ここでの前提は、あくまで上下左右全ての方向を分母とするから、そんなものなのだ。

画面だけ用意するのに192倍の能力が必要なことがわかった。

●3D化を目指して
もうひとつ、3D化を考えなければならない。
ネットに様々あるテスト的な3Dシステムを見た限り、バーチャルリアリティにふさわしい自然な3Dというのは、36視差ぐらいは用意されていなければならない。

なぜ、36視差かというと、この動画を見たからだ。


これぐらいだとカナリぐっとくる。

●能力比は?
で、話戻して、全ての視界と36視差で192×36=6912となる。
今の6912倍程度の能力が実現されるようになると、いよいよ、本格的なバーチャルリアリティが実現するということだ。

実際にはヘッドマウントディスプレイのように、映像を映しだすメガネで視界を覆って、顔の動きに合わせて映像を送り込んだりするのかなぁ。。

●それは何年後か?
で、6912倍が、ムーアの法則の表で何処に位置するかというと、18~19.5年後となる。

ということで、全身を仮想世界に没入させられる、本格的なバーチャルリアリティが実現するのは、2030年頃であろう。
とはいえ、バーチャルリアリティは視覚に留まらず、触覚や皮膚感、そんなものも必要だ。

●普及とは商売になるということ
冒頭のドラッカーの定理を借りれば、バーチャルリアリティが商売となるのは更に30年後。2060年頃だろうか。
僕は生きていないだろうけど、この時代辺りでようやく、うっかりするとバーチャルな事を忘れてしまう程度の簡易版バーチャルツアーみたいなのが実現するのだろうなぁ。

●映画では2084年にはバーチャルツアーが実現している
簡易版が2060年だから、更に30年かけて現実と区別がつかないレベルのバーチャルツアーシステムが完成したのだとも言える。
そう考えると、なかなか、現実的な時代設定なのかもしれない。

●結論
僕はバーチャルリアリティでの旅行はしない。
生きてる間には間に合いません。
良かったような、残念なような、しゃろん・すとーん。

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