日曜日, 1月 23, 2011

戦争映画に参戦し辛くも勝利



映画"コード・イーグル"をみた。

90分の映画の冒頭あたりからその予感はあった。
10分を過ぎた頃には、途中で見るのを止めちゃおうか何度もリモコンを手にした。
いずれレンタルだ。しかも50円でだ。

見るのを止めるのは簡単だった。
しかし、戦争も一旦始めればやめられないのと同様に、見るのを止めるわけにはいかなかった。

そこで無意味に苦境に陥った主人公の兵士が言う。
「俺は諦めない。最後まで命令に従う」と。

って、最初の戦闘シーンで、敵に上陸地点がバレてたと考えないのか?
いくら敵の支配下の島だからって、どう見ても撮影しやすい以外に何もメリットが無さそうなビーチのど真ん中に真っ昼間に上陸するか?
30人で上陸して十字砲火を浴びて、どう考えても生き残れない状況で、特に理由もなく7人が生き残って、その時点で、「俺は諦めなきゃバカか?」としか思えないはずだ。

いや、主人公の兵士を責めても仕方がない。
「見続ける俺はバカか?」と考えるべきだったのだ。

内容はゴレンジャーにも遠く及ばない、っていうか、ゴレンジャーに失礼な、内容だ。
だけど、仕方がない、僕も主役の彼も同程度のバカなのだろう。
もう少し見てみるしかない。

次から次へと繰り出される、予想以下の展開。
予想以下の展開に、次の予想のハードルを下げると、敵もしたたかなもので、更に予想を下回る展開を用意してくる。

仕方がない、気持ちを切り替える。
これは映画ではない。アーミーオタクたちのオフ会で、なんたらとかいう戦争ごっこを撮影したものだ。
そう思えば、ほら、今、倒れこみながらマシンガンを連射するシーンなんて、あれをやりたかったのだ。
ストーリーではない、あのシーンを撮影したかったのだ。

ほら、唐突に家族を想い出すシーン。
まだ到着して間もないけどさ、戦場でボロボロに疲れた表情で俯きながら「一人でも世界を変えられる」っていうセリフを言いたかったんだよ。

そんな風に誤魔化しながら見ていても、1時間あたらりからは誤魔化しも通用しなくなった。
これは重大な覚悟が必要だと悟った。

理由なんかいらない。
「僕は諦めない。最後まで見る」と。
これは映画ではない。僕が主役の最後まで見られるかどうかのDVDゲームだ。
戦場は、ここ、リビングなのだ。

覚悟を決めたあたりから、僕の顔は、梅干しを食べたような、困った顔のまま固定されたような、口の中が唾でいっぱいになった表情が続いていたに違いない。
ずーーーっと、「しょっぱいな。。。」と、もう、ストーリーにツッこむ気力もない。
リモコンに触れずにメインメニューまで戻ることが出きるかどうかの高等なゲームなのだ。

極東の50円レンタルビデオ屋さんにまでバーチャルソルト(仮想塩)を送り込んだアメリカ人と、そのソルトのしょっぱさに負けじとスクリーンを凝視する日本人中年男の戦いなのだ。

そして僕は戦った。
眠ることもなく、早送りをすることもなく、席を立つ事も、携帯をいじることもなく、最後まで諦めずに戦った。

そして、僕は、勝利したのだ。
大量の唾を飲み込みながら、最後まで見たのだ。
唾と同量の血を流していたら死んでいたに違いない。
それほど戦いは凄惨を極めた。

ラストシーンも、、、もう言うまい。
敗者にそれは酷だ。

エンドロール、あるんだ。ちょっと驚きだ。
大丈夫だ、このエンドロールに名前を刻まれるほどの罰ゲームもあるまい。
敗者は敗者なりの責任の取り方があるわけだ。

エンドロールが流れたとき、「終わった。戦いは虚しいばかりだ。」と心から感じたのでありました。


※はみ出し
この「しょっぱい」は、関取が負けたときに土俵の砂が口に入って「しょっぱい」が転化したものらしくて、「情けない」とか「弱い」とかの意味らしい。最近はお笑い芸人が使うのでなんとなくわかってはいたけど、こういう形で、体感するとは思わなかった。
※※はみ出し2
冒頭のYoutubeの動画は、運悪くDVDを買ってしまった人が掲示したようです。ご愁傷様。

↓amazonでも勝利したものの虚しさを感じた人(しかも購入しちゃった)たちのユーザーレビューが見られます。

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