火曜日, 1月 11, 2011

デッドマン・ソルジャースを観た。(後編)

==(前編より続く)==

一晩悩んだ末に見る決意をした「デッドマン・ソルジャース」という邦題に騙された「Horrors of th war」が原題のホラー映画。

仏壇にお線香を上げ、いや、うちには仏壇はないので、仏壇にお線香をあげたような気持ちになって、映画を見はじめた。
見る以上、生きて帰りたい。亡くなったご先祖様達に守ってもらうのだ。ホラーにはホラーで対抗するのだ。

レンタルビデオなので延々と続くCM。
早送りでCMを飛ばしていく。

そして、ようやく本編が始まる。
いや、これもCMか?

映画の冒頭、イメージ映像?、なにしろ最初はCMかと思ったほどの延々とこれから起こるシーンと思われる下りがあった。

このイメージ映像で、この映画が、戦地に現れる狼男とゾンビの映画だと言うことが、僕にでもすっかり理解できた。
これは、ホラー映画の常道とは異なる、きっと画期的なホラー映画なのかもしれない。
自らネタばらしをしたように見せかけて、ストーリーを進めるうちに、想定外の、そう、この映画なら番町皿屋敷か何かに兵士達が迷い込むのかもしれない。

油断禁物がホラー映画の鉄則だ。

で、ストーリーが展開していく。とくに理由もなく、とにかく狼男が登場。
さらに歳末バーゲン大売出しなのか、冒頭のイメージ映像すら無くとも心臓への負担は心配がない登場。
チラッチラッと姿を見せて、最後も、来るぞというタイミングで、ある意味とても良いタイミングで登場。とてもわかりやすい。

その後、まぁ、延々と上官との確執や故郷の恋人を思い出すシーンや、過去の悲惨な戦地の思い出など、戦争映画的な場面が延々と続く。いまさら戦争映画だと言われても、ただただこちらは困るだけだ。先祖にお祈りした手前、バツが悪い。

ストーリーも中盤を過ぎ、狼男との戦いで、運悪く狼男になった兵士を含む選抜チームが、ナチスの最終兵器のゾンビ兵の製造工場へ戦闘を仕掛ける。

そのゾンビも、弾を撃っても撃っても死なないのかと思いきや、頭に撃てば普通に死ぬ。
そんなほぼ決定的なヒントも映画前半の一人のゾンビに出くわした際に判明している。
もはや、想定外のシーンはなにもない。
どうだ、怖いもの無しだ。僕のご先祖様の出番は無い。

しかし、ここで気を抜いてはいけない。
ホラーとはそういうものだ。
13日の金曜日だったかなんて、エンドロールが始まってから、もう一回アレを見たら心肺停止間違いなしというドッキリが仕込まれていた。

そうやって、「来るぞ、きっと来る、そうだ、ここで油断させて来るぞ。」
と身構えていると、想像を遥に下回るチープさで、そのシーンはやってくる。
身構えて、「あぁ、死んでくれよぅ。でも、やっぱりしぶとく生き返ってしま、、、、わない。。。」
とても心臓にやさしいホラー映画なのだ。

いや、その戦闘シーンがやってくれば良い方で、3回に2回は、スルーして、全くのほほんとした場面に変わっていく。
やってきたとしても、ちゃんと、「はい、狼男の出番でーす。準備してくださーい。」だったり、「そのガサガサ音がする茂みからゾンビ登場しまーす。いきなり登場しないで~。チラ見してから登場してね~。」だったりで、観客にとても優しい演出が続く。

後半の最新ゾンビとの戦いも斬新だ。
なぜか、ゾンビは兵士を掴んでは投げる戦法に終始する。
掴んで投げる、2~3mほど兵士が投げ飛ばされる。
ちょうど、プロレスの感じ。裸でないだけ、さほど痛そうにも見えない。僕にも一回ぐらいは肋骨骨折ぐらいで耐えられそうだ。

そして、いつのまにか、その兵士の中にいる狼男が月夜でもない昼日中なのに狼男に変身して登場する。(変身シーンは無い)
その狼男とゾンビのバトルも取っ組み合いだ。

そんなこんなで戦いは人間が勝利(そりゃそうだ。最後の場面でのゾンビは一人しか登場しないのだから。)し、戦争映画っぽいエンドロールが流れる。

うーん。この映画は何だったのだろう。
通常、僕の場合は、つまらない映画だと眠くなる。
が、この映画は眠くはならない。
それは、ホラー映画に対する過度の(好みではないが)期待があったからだと思う。

万が一、ウトウトしている時にドッキリを仕掛けられたら目も当てられない。
もしかすると、「デッドマン・ソルジャース2」で、ウトウトさせてからの~、という壮大な戦略なのかもしれない。

あるいは、これがホラー映画業界の罠なのだ。
固定ファン以外にマーケットを広げるために、戦争映画ファンに狙いを定め、それとはわからないようにパッケージしてビデオを家庭に送り込む。

そう考えると、先日のセクシーホラー映画も納得だ。
単なるセクシービデオにしか見えないパッケージで客を釣り、ホラー映画を見せる。

こうやって、ホラー映画のシェアは保たれているのかもしれない。そういえば、僕の周囲にホラー映画好きは一人もいない。が、近所のビデオ屋さんなんて小さい店なのにホラー映画コーナーがある。
見たい人がいないのに製作したい人はいて、そして、延々と製作され続ける。
きっと、そこがホラーなのだ。

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