木曜日, 1月 20, 2011

中年と怠惰


先日、朝会社に着いてからチョットした驚きがあった。

その日は、寒波の厳しい朝だった。
いわゆる凍てつく朝を会社へと急ぐ。

寒い朝はどうしても体が丸くなる。
北風を浴びる表面積を最小化しようという努力なのかどうかはわからない。

そんな丸めた体で会社に到着する。
オフィスに入る。その瞬間は暖かさに感謝する。

ロッカーにコートなどをしまい、席に向かう。
何の変哲もない、ただ、寒いだけの朝だ。

何人かに朝の挨拶をしつつ、自分の席に付く。

自分の足元が視界に入る。
腹は大分出てきているが、まだ足元が見える程度だ。

足元が視界に入る。
自分の足元。

そもそも、このオフィスは比較的小さなデスクなので、足元に許される面積および体積が狭い。
どれぐらい狭いかというと、仕事するうえで特に不具合無く仕事が出来る程度に狭い。

だから、脚を組むなんていうタカアンドトシだったら「欧米かよ!」っていうような態度や、椅子に座ったたままタップダンスの真似事をしたりとか、は出来ないし、そもそも、デスクの下が狭いせいで、なんだかいつも臭っているような気もする。
"気もする"と書いたのは、そんな気がしてしまった以上、絶対に確かめたくないし、誰かに指摘されても認めたくない、そんな気持ちなのだ。

話し戻って、その心なしか黄色く霞んでいるようなデスクの下に見えるのは、紛れもなく自分の足だ。
出勤用の茶色い革靴。出勤用のズボンの裾。
そこまでは想定の範囲内だ。

そして、通勤用のズボンの裾から顔を覗かせる、毛糸のレッグウォーマー。

レッグウォーマー!? 
そこには家で足元の寒さ対策のレッグウォーマーが。。。

もちろん、ピンク色でも無いし、ハートの柄でもない、中年男子に相応しい、濃紺の地味なレッグウォーマーだ。確か、去年のこの時期、スーパーで買ったやつだ。

いや、相応しい色柄かどうかは問題ではない。
部屋着、もしくは部屋着の一部を着用したまま、人によっては神聖なる職場に着て来ている事が問題だ。
そういえば、朝、着替えるときに、夜寝るときに履いた靴下を脱ぐのが面倒で、「ええいっ、この靴下でいいじゃん」と、怠惰な判断を下したことを思い出した。


「どうしよう」と、思いながらも、「うーん、暖かい。」と、その存在を認識してこその幸せな足元の暖かさ。
「うーん、暖かい。このまま履いておこう。」と、またまた怠惰な判断をくだす。

不思議なもので、その存在を忘れているときにはそんな幸せな気持ちは味わえないのに、気がついてからは、何か特した気分だ。というか、多少ズボンの裾からはみ出したところで、気にならないのは中年の特権だ。

そんなふうに、その日は一日中ずっと幸せを感じて過ごしたのでした。

怠惰は時に幸せを増幅する、のでした。

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