金曜日, 12月 17, 2010

参りました映画「ブロークバック・マウンテン」



雑誌を読まない生活が定着して随分経つ。
雑誌を読まないと、世の中の流行を知る術は、「街に出る」「TVを見る」「上司の発言」ぐらいなものだ。しかも、「街に出る」は結局自分のセンスが問われるわけだし、「TVを見る」は高尚な番組しか見ない

そんなだから、話題作にも関わらず、なんの先入観もなく話題となった映画を観ることがある。
というか、レンタルDVD屋さんは、話題作を目立つ場所に置くので、「話題作」ということは知るところとなるのだけど、どの辺りが話題になっているのか、は、わからずに手に取ることになる。


当然、そういう時は、見始めての数分で「この映画は○系だな」などと思いながら観ていくのだけど、今回は、想定範囲を超えていた。


不意打ちされる、辻斬りにあう、食器棚の陰からゴキブリが~、会議中に思わず熟睡して夢まで見ててイビキをかいた気がして突然目が覚める、とか、そういう類の全くもって想定していない新鮮な驚きと戸惑い。
そういえば、この間の(ホラーと知らずに借りた)ホラー映画もそうだった。
(そして、そう気がついた時に、観るのを中断する事も出来ないのが不思議だ。据え膳食わぬは男の恥、とでも考えているのだろうか。)


タイトルが覚えられそうで覚えられない映画「ブルーマウンテンバック」でも「マウンテンブルーバック」でも「ブルーバックマウンテン」でもなく、「ブロークバック・マウンテン」が、その不意打ち辻斬りおぬし何者映画となった。

ストーリーはググればあちゃこちゃにでていると思うので割愛。

なにしろ、この映画、冒頭から素晴らしい景色の連続だ。
そしてその景色に一体化したカウボーイと羊たちの群れ、もう、「山最高」「カウボーイ最高」「アウトドアライフ最高!」「自然最高!」的な感動を覚えながらストーリーは進んでいくのだ。

この手の冒頭で素晴らしい自然を見せつけられるのは、グラン・ブルー以来かもしれない。なにしろ、景色に大感動するのだ。

だが、グラン・ブルーのように、事は進まない。
いずれ会議は終わるか、誰かの甲高い発言で睡眠を中断させられるか、会議中の睡眠自体を中断させられるか、中段だけに留まらず責められるか、不幸にも、そんな風に世の中も映画も出来ている。

壮大な景色の中で出会う二人のカウボーイ。
少しづつお互いを理解し合い、男の友情が育まれていく時間。
うーん、いいじゃないのー、包みこむ広大な自然がまたいいじゃないのー。


そして、だ。
こともあろうか、その二人が、夜のテントで股間のテントを、あー、なんでそうなるの、コント55号でもそうはならない、いやいや勝手にこの映画はここで流れてるけど知ってて借りたわけではないんです、っていうかとにかく参ってます、いや映像的には美しいんですよ、いや自然が美しい、いやうろたえてるというか、はぁ、参った。

世はダイバーシティとか言われる世の中。
僕自身は、世間一般平均かそれ以上に多様性に対して柔軟な人間だと思っていた。
しかし、会議中の居眠りを中断させられた時の「眠りを妨げられたショック」「居眠りを隠し切れなかったショック」と同様に、そのストーリー展開のショックだけでなく、「案外、僕は多様性の許容度に乏しい人間なのかもしれない」というショックなんかも加わって、とにかく参ったのでした。

自分のダイバーシティ許容度を試せる映画かもしれません。(先入観なく見始められれば)

というわけで、内容の善し悪しは(ショックが大きすぎて)いまだ判断できず。の映画です。

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